(鉄筆)まさに隔世の感ありで…

まさに隔世の感ありである。本紙11月10日号付電子版で紹介していたスタディサプリを区内の全小中学校に導入した東京都江東区の取り組みである。家庭学習と学校の授業との連携はこれまで学校、特に中学校の課題とされてきた。取材を受けた中学校長の話を聞く限りでは大きな成果を挙げている。

なぜ中学校では授業と家庭学習がうまくリンクできなかったのか。小学校と比べ学習内容が多く教科担任制をとっているため複数クラスの生徒に対する点検やフィードバックに相当の時間を要することが指摘できる。中学校の教員には部活動の指導があり、放課後ゆっくりと授業の教材研究や教材作りをする時間がない事情もある。

同区の取り組みは家庭学習用の教材および学習指導を民間企業に任せ、データは学校が活用する方式だ。教育委員会・学校が企業と連携し学習の棲み分けをすることで塾に行かせられない家庭の課題解消につながる。教員の働き方改革の視点からも有益な話題だ。

コロナ禍による教育のICT化の進展により教員の授業は新しいステージに入ったのかもしれない。懸念するのは、若手教員の急激な増加に伴い、家庭学習の教材作りやその指導を企業に丸投げする教員が出てきはしないか…。

『AI vs.教科書が読めない子どもたち』の著者である新井紀子氏は、AIでは肩代わりできない仕事の特色を「高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野」としている。教師という職業がAIに奪われないことを願うばかりである。

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