福音館書店
1100円+税
3人きょうだいの末っ子のちえちゃん。庭になっている渋柿を食べてしまい泣きじゃくっていると、おばあちゃんから「しぶがきにまほうをかけるとあまーくあまーくなるんだよ」と言われ、その“魔法”をかけるために干し柿を作り始める。
長い竹を使って柿を取ったり、柿の皮をナイフでむいたり、縄にくくりつけた柿をお湯にくぐらせたり。ちえちゃんはおいしい干し柿を一から作ろうと励み、晴れの日も雨の日もつるされた柿を見ながら出来上がりを心待ちにしていた。ただ、完成を間近に控えたある日、夜に干し柿を狙った泥棒が現れる――。
登場人物や柿の木などは白黒だが、柿は淡い橙色で描かれており、独特の色使いが秋という季節のはかなさを演出している。柿が苦手という子供は、読み終えたら柿に興味を持つのではないだろうか。