(鉄筆)動物季節観察の終了……

先日、花の開花や鳥の初見などで季節の進み具合を調査する気象庁の「生物季節観測」が、今年いっぱいで植物は縮小、動物は終了するという報道を耳にした。

この「生物季節観測」は、植物にあっては、「タンポポの開花」「イチョウの発芽」など34種類41項目、動物は、「ホタルの初見」「ツバメの初見」など、23種類24項目におよび、1953年以来観測されてきたものだが、来年以降、植物は「サクラの開花」など6種目9項目に絞られ、動物は観察されないという。

動物観察終了の理由だが、気象庁は、地球温暖化や都市化が進み、対象の鳥や昆虫を見つけることが難しくなったからだとしている。確かに、気象庁がいうように「ホタルの初見」といっても、「ホタル」は全く見なくなったし、「ツバメ」を見ることもこのところ少なくなった。だからといって動物の季節観察をやめることの理由になるのかどうか。逆に、だからこそ、あえて調査することで、日本の自然環境の変化に警鐘を鳴らすことにつながるのではないか。

今年の春、近所の老夫婦の軒先に2年ぶりにツバメが戻り、ヒナが育った。ヒナの餌を探す親ツバメの飛翔を見ながら、国語の教科書にあった、待ち望む春の到来を喜ぶ丸山薫の詩「北の春」の第三連「朝早く 授業の始めに/一人の女の子が手を挙げた/―先生 つばめがきました」が頭に浮かんだ。

動物季節観察の終了は残念なことだが、季節の移ろいを折々の動植物とともに感じてきた日本人の豊かな感性だけはいつまでも持ち続けてほしいものだと強く願っている。

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