(鉄筆)各被災地区の校長会……

東日本大震災発生からまもなく10年を迎える。当時中学生だった子供も今では立派な成人だ。政府をはじめ各自治体・団体主催のイベントも数多く行われる予定である。

特に被災地では亡くなった多くの犠牲者の追悼式が執り行われるものと思われる。遺族だけでなく地震国日本に生まれてきた国民全員で哀悼の意を表したい。

被災地に対する国内外からの支援活動も忘れてはならない。その中で各教育団体からの支援活動もあった。記憶に残る活動の一つは、全日本中学校長会が同会の基金や特別会計より捻出した総額1億5千万円超もの金額の義援金を被災3県(岩手、宮城、福島)の校長会に送ったことだ。このほかにも同会は義援金募集のための口座を開設し累計約3千万円余の義援金を3県以外の被災地にも送っている。

各被災地区の校長会ではこの義援金を有効に使った。例えば、学校行事や部活動の運営費、避難所となった学校が運営の際に使用する物品の購入費、被災で失業した家庭への学納金の一時立て替えのための費用、県内各地に避難した生徒への教員による訪問のための交通費など、その使途はさまざまだったと聞く。災害時とはいえ当時の行政の予算システムがいかに融通が利かなかったかを物語る話だ。

震災は日本人の心に感謝すること、連帯することの大切さを思い起こさせてくれた。この年の「今年の漢字」が「絆」だったことも象徴的だ。昨今、コロナ禍で見失いがちな感謝・連帯の心。東日本大震災節目の年に思い起こしてみることも犠牲者を弔うことになるのではないか。