検証・全国学力調査

吉益敏文・濵田郁夫・久冨善之・教育科学研究会 編
学文社
1430円(税込)

全国の小6、中3を対象に行われている「全国学力・学習状況調査(全国学力調査)」。この10年以上、毎年一斉に行われている。当初の目的は、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することに加えて教育および教育施設の成果と課題を検証し、その改善を図ることであった。

本書は、「全国学力調査」が「毎年」「全国一斉」に行われることにより、本来の趣旨に大いに反した実態があることを明らかにし、学校教育のあるべき姿から乖離(かいり)していることに警鐘を鳴らす。指摘している大きな問題点は、調査結果の点数を向上させることが目的となっている点である。その結果、過去問対策を行う、発表される都道府県別順位や平均点で必然的に生まれる学校間、自治体間競争が過熱する、豊かに学びを深められない、点数が悪いと子供や教師が苦しむことになるなど、全国の小中学校の現場の声、手記などを交えてさまざまな弊害を指摘する。

一方で、コロナ禍の2020年4月には一斉調査が実施されなかった。このことによる影響についても、アンケート調査や聞き取りから分析。束縛がなく本来の教育に注力できたという意見が大半だったという。

「全国学力調査」のあるべき姿は、「3年に1度程度」「抽出式」の実施をと訴える。多くの人に考えてもらいたいテーマである。