(円卓)コロナ禍で問う「授業とは何か」

東洋大学教授 下田 好行

2020年度、コロナ禍は人々の暮らしや考え方を変えた。企業はテレワークとなり、経済活動も制限された。学校では休業や分散登校も行われ影響を受けた。一方で、小学校の35人学級の法整備やGIGAスクール構想の前倒しも行われた。1人1台の端末と校内ネットワークの整備が進められ、教育界のデジタル化は一気に進んだ。緊急事態宣言時にはオンラインで授業を行うことも可能となり、デジタル教科書の議論も進んできた。

一方、大学ではコロナ禍をオンライン授業によってしのいだ。オンデマンド型やテレビ会議システムを利用したリアルタイム型の授業が行われた。私も1年前まではZoomという言葉さえ知らなかった。しかし、この1年でZoomを使って授業ができるようになった。

コロナ禍の大学ではクラウド型学習システムに音声入りのパワーポイントを掲示した。また、テレビ会議システムを利用し、画面越しにリアルタイムの授業を行った。特にZoomを使った授業では、ブレイクアウトセッションという機能を利用し、グループ学習を行うことができた。私はこれを学生の模擬授業に利用した。

このようにコロナ禍は働き方や学び方のスタイルを変えていった。これからは在宅でも働くことも可能であり、学校も在宅で授業が受けられることを証明した。しかし、ここで問題となったのが「対面で授業をすることの意味」である。同時に「そもそも授業とは何なのか」という議論も湧き上がった。

私は自分の授業でこのことに対してアンケートを行ってみた。すると「対面の授業でもコミュニケーションのない授業は意味がない。コミュニケーションという意味ではZoomのブレイクアウトセッションが発言しやすい」「時間とお金の節約になるのでオンライン授業がいい」「集団の雰囲気や肌感を実感できる対面授業がいい」「これからは授業の在り方も変わっていい」などさまざまな意見があった。

今、学校では1人1台の端末を使ってどのような授業ができるか、校内研修が進んでいるという。どうやら21年度は学校の授業が変わる転換点となりそうである。その前に「授業とは何か」を再び問う必要があるのではないだろうか。