(鉄筆)人権教育の一層の推進……

明治政府によって編製された壬申戸籍が1月にインターネットオークションに出品されていたことが明らかになった。壬申戸籍は1872年、わが国初の全国的な戸籍として作られたが、地方によっては江戸時代の身分をそのまま掲載しているものもあり、就職や結婚の際の身元調査に悪用されることから1968年、法務省により公開が停止された。

しかし、その後も同戸籍の流出は続き、ネットオークションのシステムが一般的になってからは毎年のように出品され法務省が対応している。戸籍が明治時代のものとはいえ個人情報であることは明白である。

ここで問題視したいのは、個人情報の何気ない公開が大きな人権侵害につながるという人権感覚に希薄な人間が少なからず存在するということである。

新しい学習指導要領では現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力などの育成のために「教科等横断的な学習の充実」をうたっている。この中には人権学習も含まれている。

現在、米国での黒人・アジア人差別、中国やミャンマーでの少数民族などへの差別虐待など国際的に人権問題が注目され、それぞれの問題にどう人々が向き合うかが論点となっている。日本国内でも外国人労働者に対する差別問題がここ数年指摘されている。その根元はいじめ問題と共通したものがあるといってもよい。人類から差別を根絶することは難しいかもしれないが、人権意識を育てることはそうではない。学校教育をはじめとする社会全体での人権教育の一層の推進を願うのみである。