(鉄筆)じっくりと学ぶ……

「日本の子供は学業の成績が驚くほど高いのですが、その陰で子供たちが考えられないほど傷ついていました」「イスラエルは対照的です。国際調査を見ると、この国の学童は初等教育の時点では成績は凡庸です。ところが高等教育になると極めて優秀な生徒になるのです。これはゆっくり学ぶことの利点だと思っています」「いまは平均寿命が80歳を超える時代です。なぜ、6~10歳の子供に全力疾走させるのでしょうか」。

『新しい世界 世界の賢人16人が語る未来』(クーリエ・ジャポン編集、講談社)の中でフランスの精神科医ボリス・シリュルニク氏が語っている。氏は、「今回の疾病流行は社会をどう変えるか」という問いに、「新しい価値観が育つはずです。私自身は、この全力疾走の連続のような生活が終わり、社会がもっとゆっくりとしたものになるのがいいと考えています」と答えていた。

この指摘をどう受け止めるか。今、子供たちが学び始めた新教育課程は、英語教育の重視、プログラミング教育の導入、ICT教育の重視など新たな負担がかかっている。一方で内容の削減はない。

そしてコロナ禍でのストレス生活だ。教師もGIGAスクール構想への対応とコロナウイルス感染症対策への対応で目いっぱい。一人一人をじっくり見ることはできないだろう。こんなことで未来を開く子供が育つはずがない。

主体的・対話的で深い学びは、子供が自らの見方・考え方を働かせてじっくりと学ぶことで成立する。この機会にもう一度先を見据え視野を広げて見直す必要がある。