(円卓)記述式の採点者

教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸

「大学入試のあり方に関する検討会議」の議論を見ると、大学入学共通テストに記述式を加えることに対する否定的な意見が多いようである。英語のスピーキングとライティングを共通テストに加えることについても同様であるという。

否定的な意見の根拠は、記述式などの採点や評価が困難であることに尽きるようである。

しかし、イギリスの大学入試に相当するAレベル試験や、フランスのバカロレア試験では、2000字から3000字の答案を採点しているのである。中国の大学入試の共通テストである普通高等学校招生全国統一考試(通称、高考)も大半が記述式である。

わが国では、当初予定されていた100字程度の記述式の採点についても公平な採点ができるのかという疑問や批判が巻き起こったが、これをイギリスやフランス、そして中国と比較すれば、わが国のこの面での遅れがいかに深刻かが分かるであろう。

これらの国々で採点をしているのは、わが国の高校に相当する学校の教員である。なぜ教員が採点するかというと、学校内のテストなどで日常的に記述式の採点をしているからである。そのため共通テストのような採点も、高校に相当する学校の教員が担うわけである。

翻ってわが国の高校の現状を考えてみると、とても記述式の採点に習熟しているとは言い難いのである。

私自身も長年にわたり高校の教員であったので実態がよく分かる。高校の定期テストなどで100字程度書かせる問題を出題する教員は、数学を除いてほとんどいない。

最近、学校によってはマークシート・リーダーがあるため、センター試験や共通テストと同様にマークシートを定期テストに用いることもある。

なぜ高校から記述式が消え、マークシートが用いられるようになったのか。それは共通一次試験から始まった多肢選択式のテスト形式が40年以上続いたからである。

「大学入試のあり方に関する検討会議」での記述式に対する否定的な見解が最終的な結論となれば、わが国では今後も記述式の採点を担う人材に困る状態が続くであろう。

教育の根幹に関わる重要な問題である。多くの関係者に考えていただきたいものである。

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