自己評価のすすめ 「自立」に向けた「自信」を育てる

安彦忠彦 著
図書文化社
2200円(税込)

日本では謙虚を美徳とする雰囲気が根強いため、自分自身を適切に評価できず、劣等感を抱えている子供は少なくない。本書では、適切な自己評価のやり方から日本人の自己肯定感が伸びない原因を紹介し、本当の自信を獲得するために必要な視点を啓発する。

冒頭、日本の高校生の主体性や向上心などの低さを、他国と比較したアンケート結果を交えながら論じる。ただ、「これだから最近の若者は」といった“若者たたき”ではなく、自己評価をないがしろにする一方で、自己責任ばかりを押し付ける昨今の風潮を問題視。そういう雰囲気を作り出した政治や社会の在り方に疑問を呈す。

次に自己評価について解説を始める。自己評価と自己採点、評価と評定、自己と自分、といった曖昧な表現の差異を一つ一つ明確化して、自己評価という営みを丁寧にひも解いていく。続けて、肯定的なことも否定的なことも含めた第三者からの評価の重要性に触れ、自信が培われる自己評価のやり方を説明する。

中盤では、日本語には「…と思われます」や「…と言われております」といった主語が分かりにくい表現が多いため、「自己」が不明確になりやすいと指摘。日本で自己評価が進まない原因として、日本語特有の複雑さに着目していたのは興味深い。自己評価に対する理解だけでなく、日本人の特性をさまざまな角度からアプローチしており、自己だけでなく他者理解も手助けしてくれる。

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