コロナ禍が変える日本の教育 教職員と市民が語る現場の苦悩と未来

NPO 法人「教育改革2020『共育の杜』」 編著
明石書店
2200円(税込)

ポストコロナ時代の学校教育の新しい姿を模索するため、学校を地域社会のコミュニティーの拠点にすることを目指すNPO法人「教育改革2020『共育の杜』」が手掛けた一冊。公立校や特別支援学校の教師だけでなく、スクールカウンセラー、PTA副会長といった計23人の学校関係者が多様な視点からコロナ禍を転換点とした教育の在り方を提言する。

本書は、電子図書館と連携して電子図書の貸し出しに取り組んだ学校の事例や感染症対策を徹底しつつ職務を全うする教師の疲労やストレスを集計したデータなど、バラエティー豊かな内容ばかり。

中でも、小学校で栄養教諭を勤める髙木美納江氏の「給食で季節の食材を味わい旬を知ること、地場産物を知ること、献立の中で郷土の料理を知ることや行事食を通して食文化を学ぶことができます」という給食を通した食育が休校でできなくなったとの指摘は興味深い。

休校になったことにより、学習の遅れやコミュニケーションの喪失ばかりが注目されたが、学校生活の注目されていなかった営みが少なくないこと、それらが子供の成長にどのような役割を担っていたのかを知ることができる。

多面的な発想が寄せられてはいるが、各筆者は一貫して〝つながり〟の必要性を説く。時代に順応することも大切だが、「地域社会に生きる人間として自分は何ができるのか」を〝原点回帰〟の視点を持って考えるきっかけを与えてくる。