(円卓)授業の「まくら」の大切さ

千葉敬愛短期大学学長 明石 要一

6月中旬の授業の初めに、次のような問いを出します。

「ジューンブライドという言葉を知っていますか。“6月の花嫁は幸せになる”という意味です。欧米では6月に挙式をする女性が多いのです。“6月の花嫁は幸せになる”というフレーズは、日本で通用するのでしょうか」。

多くの学生は戸惑った表情を浮かべます。そこで私は「日本ではこのフレーズは通用しません。なぜでしょうか。隣の人と話し合ってください」と指示を出し、そのあと次のように説明します。

日本ではある地域を除いて、このフレーズは通用しません。ヒントは日本の6月の気候を考えてください。梅雨です。うっとうしい天気が続きます。5月の5月晴れのような晴れ晴れした気持ちになれないのです。多くの大人たちは夏の暑いお盆と梅雨時の結婚式を避けます。

欧米ではなぜ“6月の花嫁は幸せになる”が生まれたのでしょうか。欧米で一番いい季節は6月なのです。芝生の芽が生えてきて花々が咲き始めます。日本の5月晴れの気候が6月に見られるのです。

サッカーのワールドカップは6月に開催されます。1年遅れのサッカー、「ユーロ2020」も今開かれています。高校大学の卒業式も6月です。ハレの行事は青空がみられる澄み切った天気の下で行われるのです。そして、新学期は夏を避け9月から始まります。学校制度も地域の気候によって変わるのです。

ところで、日本の例外の地域はどこでしょうか。日本で梅雨のない地域です。「北海道!」という声が上がります。「そうです。北海道は梅雨がありません。ですから、北海道では“ジューンブライドは幸せになる”が通用します」。

次に応用問題を2つ出します。「本土にはいなくて北海道だけに生息する動物は何でしょうか。本土にはいて北海道には生息しない動物は何でしょうか」。答えはそれぞれヒグマとニホンザルです。ニホンザルの北限は青森です。ネット社会になり地理的な区間が実感できにくくなっています。昔からの言い伝えの意味を今一度、問い直していきましょう。

落語では「まくら」が欠かせません。授業でも「まくら」を使うと学生は集中します。