(鉄筆)アジサイを見て……

7月に入り梅雨の本格的なシーズンに入った。この時期、学校においては食中毒、熱中症など子供たちの健康に関するケアに神経をとがらせる。さらに今年は、感染力の強いデルタ株コロナウイルスが全国の小中学校にも広がり始めているため、学校関係者の苦労は計り知れないものがある。

そうした苦労をよそに、今年も街のあちこちにアジサイの花が咲き誇っている。元々、アジサイは万葉集でも歌われている日本古来の花で、西洋に伝わり品種改良されて現在のように多くの種類に増えていった。ただ、万葉集をはじめ平安時代までの歌集にはあまり多く登場してこない。諸説あるが、「移り気」という花言葉が示すように花の色が次々と変わることや、毒性が強いことから和歌の対象としては敬遠されていたようだ。

しかし、毒性が強いことで「魔よけ」のシンボルとして扱われることも事実である。兵庫県相生市にある若狭野天満神社ではドライフラワーにしたアジサイをお守りとして人々に授与し、毎年七夕の頃に各家庭において軒下などにそれをつるす習わしがある。

アジサイの形状が同じく魔よけとして古くから使われていた「薬玉(くすだま)」に似ているという説もある。また、多くの寺院でアジサイが植栽に使われているのは病魔退散の意味とも流行病で亡くなった人々への供養のためという話もある。

コロナワクチンの接種が進みようやく一条の光が見えてきた。閉塞(へいそく)感漂う昨今、街に咲く色とりどりのアジサイを見て勇気と希望をもらう今年の梅雨の過ごし方はいかがであろう。

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