(円卓)SDGsに向かう姿勢

福岡教育大学教授 石丸哲史

 わが国においてSDGs(持続可能な開発目標)の認知はかなり進んだ。「SDGsウォッシュ」といわれるような、「本当に持続可能な開発目標達成に取り組んでいるのか」と首をかしげたくなる取り組みもある。

 まず目標の設定が重要であるが、目標に向かうプロセスも大切で、とりわけ学習活動では重要だ。学習者が目標に向かっている自覚を持ち、SDGs達成に向けて学ぶことを、ESD(持続可能な開発のための教育)では重視してきた。これまでの取り組みが持続可能性を追求するもので、SDGsが設定される以前から継続されてきたのなら、これまでの取り組みの意義が明確になり、高く評価される。

 持続可能性の追求など意図することなく取り組んできたが、SDGsの登場で見栄えをよくするためSDGsを前面に出すのならば、この姿勢は歓迎したくない。企業活動のみならず、学習活動でもしかりである。SDGsに向かう背景や動機にも目を向けたい。

 持続可能な社会というゴールを設定し、バックキャスティング的思考により現状認識をした上でゴールに向かう道程を定め、確固たる信念のもと着実に進む。必ずしも予定通りにはいかず、軌道修正が必要となるが、それには他者の意見が欠かせない。流行語大賞を受賞したロコ・ソラーレチームの「そだねー」は、軌道修正の場面での言葉であろう。臨機応変に状況変化に対応していくためには他者の意見がありがたい。軌道修正という「調整場面」である。

 学習改善につながる学習評価が重視されるようになった。一番難しいのが「主体的に取り組む態度」の評価とされる。

 「知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているかどうかを含めて評価する」(文科省資料)のように、ゴールに向かう取り組みで、状況変化に応じて調整しようとする姿勢こそ、SDGsに向かう際に必要である。

 SDGsに向かう学習者を、揺れてもブレないやじろべえに例えてみる。支点がズレないのは確固たる信念によるもの、揺れることは調整場面であるとする。VUCAの時代にあって、SDGsに向かう姿勢には、やじろべえを模したい。

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