(円卓)免許更新制が現場にもたらしたもの

全国小中学校環境教育研究会顧問 國分重隆

 2007年6月、前年の中教審答申を受け「改正教育職員免許法」が成立。翌々年に導入された「教員免許更新制」が早ければ23年に廃止という方針が、8月23日に打ち出された。

 筆者も最近2回目の更新講習を受け、受講料・手数料をしっかり払い、今後使うことはないかもしれない教員免許を更新した。義務感に駆られてはいたが、それ以上に「教師は常に学び続けなければならない。そのためには最新の知識・技能を習得しなくてはならない」という制度の趣旨が心に響いたからだ。 

 廃止理由が知りたく関連小委の議事録などを読むと、教師の負担増と教育現場で十分な成果が得られていない現状が挙げられていた。

 それは文科省が7月5日に公表した「教員免許更新講習を受けた現職教員2108人へのアンケート結果」が物語る。抜粋すると、「現在の教育現場に役に立っているか」では、「役立っている」「やや役立っている」が33・4%。役立っていないと感じる理由では「現実との乖離があり、実用的ではない」が52・3%。総合満足度は、「満足」「やや満足」が19・1%、「不満」「やや不満」は、58・5%。受講した筆者自身、不満が多く残った。

 本制度の制定前後の首相発言や「教育再生会議」、関連する委員会で公にされた検討内容を、当時現役校長の一人として読んだ。

 目的論レベルでの文科省と政府の食い違いを感じたのを覚えている。導入の真意はどこにあったのか。政治家や官僚の現場の実態把握が不十分なまま、また一つスクラップなきビルドが増えたと落胆した。

 この制度がもたらしたものは「純粋に資質が向上したと思った教員の満足感」と、「実践に生きる知識が得られなかった教員の疲弊感、制度への失望感」だろう。どちらが多いかは言うまでもない。

 今回の発表には、「廃止」に置き換え、政治家の大好きな「発展的解消」という言葉が目立った。前向きに受け止めたい。

 今後は、教員が金や時間の心配もなく、資質向上への願いをかなえるための質の高い研修が充実していくに違いない。現場無視の失敗作が形を変え残っていくことだけはないと信じたい。

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