新国語授業を変える「用語」

白石範孝 編著
文溪堂
2200円

 国語科では「教材で教える授業」という考え方が広まったものの、実際は「教材を教える授業」が常態化し、生徒に要約力や読解力といった〝汎用(はんよう)的な力〟を獲得させられていない現状を危惧する編著者。用語を明確化することで児童生徒全員を共通の土俵に上げ国語科の足場を固めることをサポートしてくれる指南書になっている。

 3章に分けて「伏線」「登場人物」「文末表現」など、国語科において大前提となる最重要用語48語をピックアップ。表を使用したり、「モチモチの木」や「ごんぎつね」といった実際に教材として使われている物語を引用したり、さまざまな角度から各用語を紹介する。

 例えば、「クライマックス」という用語では、その特徴として「中心人物の心情が大きく変化したところ」「視点の転換のすぐ後にあることが多い」と記され、頭では分かっていたものの言葉では説明することが難しかった用語を解きほぐす。さらには、クライマックスを特定する目的として、「中心人物が何によってどのように変容したのか、変容のきっかけをつかむことが、その物語の主題をとらえる上で大きな意味を持っています」と生徒が疑問に持ちそうなポイントにも言及している。

 SNSの普及により、共感ベースの短文を目にする機会が増え、なかなか文章を考察することがなくなった昨今。言葉や文章、物語の面白さを若い世代に気付かせる授業作りの羅針盤になる一冊だ。

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