(円卓)考えを記述する力

東京学芸大学教授 中村 和弘

 今年4月に行われた全国学力・学習状況調査の結果が、9月に入って公開された。

 国語の解答状況を見たとき、条件に合わせて自分の考えを記述する設問に課題が見られると感じた。

 例えば、小学校の大問2は、「面ファスナー」についての説明文を読んで答える問題である。設問四の問題文には「面ファスナーは、国際宇宙ステーションの中でどのように使われていますか」とあり、条件として、「面ファスナーのよさを取り上げて、国際宇宙ステーションの中での使われ方について書くこと」となっている。

 「面ファスナーのよさ」と「国際宇宙ステーションの中での使われ方」の2つの要素を書くことが求められているが、正答率は29・9%で、1つ目の「面ファスナーのよさ」が抜けていることによる誤答は、44・5%に上っている。

 また、中学校の大問3の「吾輩は猫である」の問題でも、設問四では設問に関わる表現を引用した上で自分の考えを書くことが求められているが、引用せずに自分の考えを書いているために誤答となった回答が、44・8%になっている。この問題の正答率は20.8%だった。

 読んで考えたことは書いているが、条件に合わせて書けていない。こうした状況は、PISA2018の調査結果分析で、「誤答には、自分の考えを他者に伝わるように記述できず、問題文からの語句の引用のみで説明が不十分な解答となるなどの傾向が見られる」と指摘されたことと重なってくる。

 子どもたちは文章を読んで、自分の考えを書けてはいるのである。ただ、自分なりに書いて満足してしまっているところに課題があるように思う。何が求められているか、どのような条件で書けばいいのかというところに目を配り、丁寧に読み、しっかり書き、あらためて条件に合っているかきちんと見直す、そうした一連のプロセスが大切になってくる。

 全国学力・学習状況調査結果とPISA2018の調査結果分析から、そうした子どもたちの課題が重なって浮かび上がってきた。まずは授業などにおいて、「丁寧に読んで、しっかり書いて、きちんと見直す」ということが必要となる学習活動を、さまざまに工夫するところから始めてはどうだろうか。

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