(鉄筆)紙の教科書……

 「娘は『紙の教科書派』」という母親による新聞の投書が目に入った。スマホやタブレットをごく自然に使いこなす小4の長女にデジタル教科書について聞いてみたところ、意外にも紙の教科書の方がいいとの答え。

 理由は「新学年を迎え、新しい教科書を受け取るのがうれしい」「パラパラとページをめくり、何を習うのかなど思いをはせる」「国語や道徳の教科書は興味があり、授業前に読んでしまう」「年度末にくたびれた教科書を手に取ると『がんばったなあ』と実感が湧く」など。

 かつて担任した子供たちや自分のことを思い出してみると確かにそうだった。配られた教科書を手に取り進級したことを実感した。ページをめくって面白そうなところを探した。家に帰って親らに見せ自分の机上の本立てに並べた。どんな中身か興味のあるところを読んでみた。時間割を見て明日使う教科書を確かめてランドセルに入れた。

 授業でお世話になることはもちろん家での予習・復習でも活用した。母親に間違いなく読めたか聞いてもらった。実際にさまざまに触れる紙の教科書は学びの足跡を体感し実感し形に残る。心の成長の証ともなる。それが紙の教科書の良さだろう。

 投書した母親は「データには表れにくい、紙の教科書の良さだと思う」と締めくくっていた。紙かデジタルか、いろいろと聞こえてくる。それぞれの良さがある。単純に決めては禍根を残しかねない。子供たちの声や意見を学校種別にもっと聞いたらどうか。使うのは子供たちだ。子供たちの声を聞き、多角的に考えることも必要と思うが。

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