(鉄筆)「みずくらいど」を……

 「みずくらいど」をご存じだろうか。江戸時代、江戸の人口が増え続け、水不足となった。十分な飲料水を供給するため、現在の東京の羽村市から多摩川の水を引き込み新宿区四谷まで玉川上水を開削した。水を流すと途中の福生市あたりで地中に吸い込まれてしまう。地盤の透水性が非常に高く吸い込まれてしまったことから、「水を喰らう土」という意味の「みずくらいど」と呼ばれるようになった。

 8月31日に文科省から今年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表された。質問紙調査でコロナ禍による臨時休業期間について聞いているが、臨時休業期間の長さと各教科の平均正答率の間に相関は見られなかった。

 突然のしかも年度をまたぐ臨時休業であったため、休業中の生活や学習などについて学校は十分に対応できなかった。「学びを止めるな」「オンラインでの授業を行え」という声を聴きつつ、アナログ的な方法であっても子供たちとのつながりを大切にしつつ、生活規律を保ち、学力を維持・向上できるように努めてきた。

 学校再開後は感染拡大を防ぐために3密を避け、学校行事の内容や方法を検討し、教育課程を編成し直して教育活動の充実に努めてきた。学力調査で休業が学力に影響しなかったという結果を得たのは、ひとえに学校の努力にある。

 これまで学校は「みずくらいど」のようにさまざまな要求を受け入れ、黙々と教育活動の充実を図ってきたが、限界がある。今、学校という「みずくらいど」から水が染み出してきていることを教育行政に関わる者は十分に認識する必要がある。

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