発達障害のある子のメンタルヘルスケア-これからの包括的支援に必要なこと

神尾陽子 編著
金子書房
1430円

 発達障害が注目されて久しいが、言葉だけが広がるばかりで、当事者のメンタルヘルスケアはあまり言及されていない。海外の研究では、自閉スペクトラム症(ASD)の子供は、うつ病を始めとしたメンタルヘルスに関するリスクが高いことが報告されている。

 「発達障害」だけに目を向けるのではなく、その先に潜む支援課題にも目を向けなければ、子供の健やかな成長は難しい。本書では見落とされがちな発達障害の支援について、医療的支援や地域支援などさまざまな専門家が全13章に渡って多角的に示す。

 発達障害の基本的な情報がまとめられてはいるものの、「ゲーム障害」や「新型コロナウイルス」など、最新の事象と発達障害の関係性にも触れられており、知識のアップデートに役立つ。

 第6章「発達障害のある子の不安のアセスメントと介入方法」内の「発達障害のある子どもが自ら不安を訴えることは少ない」という記述は目を引いた。子供だけを見ていては適切な支援につなげることは容易ではなく、「異変が無いから大丈夫」と決め付けることは危険でしかない。常にいかに多面的な視点が重要なのか、その必要性を突き付ける。

 子供の問題を家庭外に持ち込むことに否定的な風潮が根強いが、その結果として、追い詰められている子供や養育者は少なくない。”子育ては家庭から地域社会が担うもの”という価値観を根付かせる大きなきっかけになるだろう。

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