社会を生きぬく力は 小学校1時間の授業にあった

菊池省三 編著
中村堂
2750円

 コミュニケーションを重視した授業スタイルを探究し、テレビでも取り上げられた経験を持つ元小学校教諭の編著者の授業を、学校関係者にとどまらず、企業の新卒採用担当者や市議会議員といったバラエティー豊かな立場の人たちが分析した1冊。主に、コミュニケーションが十分になされておらずまとまりのない「形成期」、メンバーが自己主張を強めて摩擦が生じている「混乱期」、チームとして標準的には機能している「標準期」、チーム内に強固な信頼関係が生まれている「達成期」の4段階に分解し、展開される。

 段階ごとに各専門家が独自の着眼点から評価するのだが、どの指摘も意表を突くものばかり。とりわけ、NLPトレーナーによる「拒否できないほめ方・指示」はとても面白い。褒められても素直に受け取れない児童、受動的で授業に積極的に参加できない児童など、編著者がいろいろな個性を持つ児童を授業に巻き込んでいくコミュニケーション術に注目しており、何気ない授業中の所作を見直す良い機会になる。

 授業中の議事録が細かく記録されているだけでなく、YouTubeにアップされている実際の授業動画のQRコードも載っている。本書内の指摘を見返しながら、どのような点を編著者は意識しているのかをじっくり確認することができ、非常に実践的な内容と言って良い。教師はもちろん、集団を束ねる立場にあるビジネスパーソンにも薦めたくなる。

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