(円卓)2050年の教育を想像・創造する

上智大学教授 丸山英樹

 世界規模の気候変動や感染症などの課題を前に、私たちは共に持続可能な未来を想像・創造していく必要に迫られている。

 今やおなじみとなったSDGsにおいて教育はその一部であり、同時に他の目標全てに関係する。4番目の目標である教育は包摂的で公正なもので、生涯学習の機会を担保すべきとされている。

 中でもESDと持続可能なライフスタイルなどを通した教育の重要性が示されている。他目標を達成する手段としての教育は、持続可能な未来に向けた知識や技能、また価値や態度を形成していくことを目指す。

 日本の学校や公民館でも盛んに行われるESDは、社会構成主義と進歩主義を背景としており、学習者を中心にした教育デザインと実践になる。ここでいう学習者は子どもだけを指しておらず、生涯学習者として教師や保護者、また地域の人たちも含めている。そのため、持続可能な未来に向けた教育とは、全ての人が関与して「これまでどおり」を問い直す教育となる。

 2021年11月10日、ユネスコは2年ごしの国際報告書『教育の新たな社会契約』を刊行した。これまでユネスコは、1972年のフォール報告書『未来の学習』や96年のドロール報告書『学習:秘められた宝』といったインパクトのある国際報告書を出しており、本書はそれらに続く重要な報告書に位置付けられる。

 その内容は理想主義的で、(1)SDGs後である2050年の教育を再び果敢に想像・創造していく(2)地球の未来を描くとき暗くなりがちだが、教育を普遍的人権として世代内と世代間の課題を乗り越えて学校内外の営みを公共善として創造する(3)全ての人たちが未来に向けて、何を続けるべきか、何を止めるべきか、何を再構築すべきかを決定するプロセスに関わる意義を再確認している――というものだ。そして、本書はスタート地点を示したのみであると最後に述べる。

 ちょうど今、私の呼び掛けに応じた若者と研究者たちが本書概要の和訳を終えて、解説を加えている。関心を持つ読者と共に勉強したいし、本書を国際機関から与えられたありがたい物としてよりも自らの物として、共に2050年の教育を想像・創造するきっかけにしていただきたいと思う。

 

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