(円卓)「カリキュラム・マネジメント」の用法

浦和大学特任教授 工藤文三

 カリキュラム・マネジメントの用語が学習指導要領の総則に示されて以降、さまざまな場面でこの用語が使用されている。総則では、教育内容等を教科等横断的な視点で編成すること、教育課程の実施状況の評価と改善、教育課程の実施に必要な人的、物的な体制の確保と改善を図ることを通して組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図っていくことを「カリキュラム・マネジメント」としている。

 教育課程とは学習指導要領等の法令で用いられる用語であるのに対して、カリキュラムとは教育課程のみならず指導計画や教育実践、評価の場面に即しても用いられる。また、子供の学習経験に即して用いる考え方もある。「隠れたカリキュラム」という用い方もされるし、かつてカリキュラム開発の工学的アプローチ、羅生門的アプローチが対比された際の「カリキュラム」とは、教育の計画・授業の実践・評価の全体を指したものであった。

 このようにカリキュラムの語はさまざまな場面、要素、レベルに即して用いられてきたことを踏まえると、学習指導要領の総則で「カリキュラム・マネジメント」の言葉を用いたのが果たして適切だったのか、改めて吟味する必要があろう。

 これまでもカリキュラムという言葉は、教育課程のことを指すのか、教科などの指導計画を対象にしているのか、授業の構成レベルを指しているのかが曖昧なまま用いられることが多かった。総則では教育課程に即してカリキュラムの語を用いていると解されるが、実際には、教科等レベルや授業構成レベルで用いることを排除はできないと思われる。

 カリキュラム・マネジメントの語についても、教育実践を踏まえた年間指導計画の見直しや単元内の授業構成の見直しについても、このカリキュラム・マネジメントの言葉を用いてよいのかどうか。それとも総則で示しているように「人的又は物的な体制」まで含めなければカリキュラム・マネジメントとは言えないのか。これまで広く用いられてきた「授業改善」とカリキュラム・マネジメントの関係はどうかなど、さまざまな用法上の課題が浮き彫りになる。

 今後も、「カリキュラム・マネジメント」の言葉はさまざまに使われる可能性があるが、やはり対象やレベルを明確にした用い方をする必要があると考える。    

 (国立教育政策研究所名誉所員)

 

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