地名で語る「日本の歴史」授業

高橋茂樹 著
黎明書房
1980円

 定年まで社会科教師として公立中学校に勤務していた著者による、日本の歴史と地名の由来を組み合わせた参考書。原始(縄文・弥生)から近代(明治)までを全5章に分け、時代ごとに名付けられた地名を取り上げ、その由来について解説していく。

 お台場や種子島という有名な地名もあれば、調布と伏見など縁がない人にとってはなじみのない地域もあり、非常に幅広い地名が特集されている。その紹介も興味をそそられる。「取手」は「砦」に由来しており、桶狭間の戦いの前哨戦と言われる「村木砦の戦い」が関連しているという。また、「不破」は壬申の乱の際、大海人皇子がいち早く東国につながるこの地を封鎖して大勝したことを受け、「突破されない」という意味から名付けられたと解説。地名が名付けられる時、歴史的な出来事が引き金になったことが分かる。

 各章の間には「特別編」として、「JR山手線の各駅名巡り」「大阪に残る『大坂』時代の地名」といったキャッチーなテーマも扱っている。中でも、「沖縄県の難読地名」には一度目を通してほしい。「南風原(はえばる)」や「伊奈武瀬(いなんせ)」など、沖縄県民でなければ簡単には読むことのできない地名がクイズ形式で出題されており、地名の面白さにますますのめり込んでしまう。現在地や出身地、観光名所の名前の由来が分かれば、歴史に好奇心を抱く第一歩になる。歴史に興味関心が低い子供にこそ、手を取ってほしい内容だ。

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