(円卓)教育は今、時代の転換点

東洋大学教授 下田好行

 コロナ禍により、企業ではリモートワークが行われ、大学においてもオンライン授業が行われている。社会は急速にデジタルフォーメーションが進んでいる。小中学校ではすでに1人1台の端末も配られている。

 現代はSociety5.0でサイバー空間と現実空間を使いこなす社会となっている。その上、地球温暖化、エネルギー、健康、人権、格差、平和の問題など、地球と人類の未来は危機的状況に直面している。脱炭素社会を目指して、車業界では電気自動車の開発も加速している。経済も社会も今、変革の時を迎えている。時代は転換点にある。変えようというのではなく、変わらなければならない状況である。

 昨年の1月26日に「令和の日本型学校教育の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」と題する中教審答申が出された。そこでは「個別最適な学び」と「協働的な学び」が強調されている。一方、経産省では「未来の教室ビジョン」を2019年6月に出している。そこではすでに「学びの自立化・最適化」「学びのSTEAM化」が打ち出されている。基礎基本の学習はAIドリルを使い、学びの「STEAM化」では社会に潜む問題を協働的に学習する。新しい学びを学際的に創造しようとしている。もちろん両省の立場は違っている。文科省は全体的な底上げを狙っているが、経産省は経済をけん引するエリートを養成しようとしている。

 よく教育は保守的であると言われる。教育制度や学校という組織を見ても旧来のやり方が踏襲される傾向がある。以前、オランダに行った時に驚いたことがある。オランダでは、校長が教育の方針を決め、それに賛同する保護者と子供が何人集まったかで学校の予算が決まるということだった。学校の運営資金はもちろん市民が納めた税金である。このシステムにも一長一短があるが、市民が納めた税金の配分をどのような形で行うかは重要なことである。できれば人と社会が活性化し、みんなが幸せになる方向でお金を使ってほしいと思う。

 人間にはどうも今のままがいいと思う人と今を変えたいと思う人がいるようだ。意識の向き方が違うのである。いずれにしても幸福な未来になるようにお金を使ってほしいと思う。

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