(円卓)学校と社会をつなぐ公民館

宮城教育大学名誉教授  見上一幸

 先日、神奈川県綾瀬市立中央公民館からの依頼で、ESD(持続可能な開発のための教育)・SDGs(持続可能な開発目標)として「食品ロス(フードロス)」をテーマにした活動に参加する機会があった。この市は食育を重視し、中学校までの完全給食、食育指導を実施しているが、給食の食べ残しが課題で給食センターもその減少に努力している。この日は、地域の社会教育の拠点である公民館が企画した関係者の学習会であった。

 給食を提供する給食センターは各学校、各クラスの食べ残しを毎日確認しているが、食べ残しを減らすために、学校と直接的な意見交換を行うことは、子供個人の事情にも関わる恐れもあり難しいようであった。

 この学習会には、中学校長の提案で生徒会のメンバーを中心に生徒数人も参加した。この日の学習会では、限られた予算で、おいしく栄養価の高い給食を提供しようとする給食センターの努力が素直に子供たちに伝わり、市の関係者にも伝わり、フードロスをどう減少させるかという誠実な議論がなされ、問題解決に向けて公民館の存在意義を感じた。

 SDGsは企業も含め喫緊の課題して、認知されつつある。また、SDGsの達成を支え、日本発の教育ともいえるESDは、公民館の社会教育活動としても、すでに岡山市、福岡県大牟田市、神奈川県平塚市などの優れた先進事例がある。かつて公害の時代に、学校での水質浄化の学習成果が、子供たちを介して両親に伝わり、大人の行動の変容につながったように、SDGsの達成についても、学校と公民館などの社会教育施設との連携を通じて大人が触発され行動の変容につながり、地域変容がもたらされることを期待する。

 世界に目を向けると、2020年からユネスコの新しい国際枠組み「ESD for 2030」が始まっている。国内では、ESDを明示した新学習指導要領がすでに小・中学校で始まり、4月からは高校においても実施され、各学校ではホールスクールでのESDへの取り組みが行われている。

 「フードロス」に限らず、SDGsの観点からの地域の課題について、学校と公民館など社会教育施設との連携ができれば、地域の変容、地域創生につながり、子供たちにとっても「学びに向かう力」に大いに資することを期待する。

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