(鉄筆)内村選手の引退……

 新聞の「内村引退」の大きな文字が目に入った。「やはりか」と思いながら「お疲れさま」と声を掛けた。世界選手権は09~15年に個人総合6連覇、国内では全日本選手権、NHK杯ともに10連覇、国内外を合わせて個人総合40連勝の超人的な記録を残し、国内外で体操界の「キング」と呼ばれた。

 そんな人でも以前は練習嫌いだったという。10代後半のユニバーシアード代表合宿でメキシコ、ミュンヘン五輪金メダルの加藤沢男さんから「世界一になれるのは世界一練習している選手だ」と告げられた。さらにアテネ五輪団体金メダルの富田洋之選手が年下の自分よりも熱心に練習している姿を目の当たりに見た。以後、黙々と練習する姿に変わった。

 周囲に世界一の質と量と言わしめる猛練習を積み重ねた。特に、各種目の倒立、あん馬の旋回など基本練習を重視した。こうして完成度が高く、つま先までピンと伸びた演技を生み出した。

 神業と言われ舞い降りるような着地など「美しい体操」は本人が求め続けた極地だろう。「ウチムラ」と命名された技はない。誰にもまねできない完璧な技さばきを求めたからのようだ。「努力が天才をつくる」を絵に描いたような選手と言えよう。

 選手生活の終盤はけがに苦しむことが多くなったが、それだけ身体を酷使したと言うことだろう。今後は競技者から演技者になって演技を続けながら体操の普及活動に携わるという。3月12日に東京体育館で演技会を開催して引退の花道とするそうだ。その後は日本中の子供たちがあなたの演技や指導との出合いを待っていますよ。

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