(円卓)へき地教育におけるICTの可能性

北海道教育大学副学長 玉井康之

 2022年の過疎地域指定自治体は5割を超え、全国的に小規模校化も進行している。この中で学校統廃合も進んでいるが、バス通学でもかなりの通学時間を要するために、統廃合も限界に来ている自治体も多い。このため文科省は、学校統廃合だけでなく、極小規模校のメリットを最大化し、デメリットを最小化する施策を推進している。

 極小規模校の最大のメリットは、教師と子供の信頼関係を基盤にして、子供に最適な教育活動を施しやすく、体験的学習や探究的学習も組み込みやすいことである。

 一方のデメリットは、極少人数の中で、会話や人間関係が限定される傾向が生じやすいことである。このデメリットを補うために、自立的に運営する授業・発表機会・コミュニケーション機会を設定して、少人数でも社会的に活躍できる力を育成している。

 さらに、近年はICT遠隔双方向システムを意識的に活用して、近隣のへき地・小規模校同士の合同授業や子供同士の交流活動を取り入れる学校も増えてきた。また、遠隔双方向システムは、場所・空間・時間を超えて、博物館や公共施設などの専門家とつないだ地域調査活動や「社会に開かれた教育課程」を推進しやすい。そのため小規模校ほど、協働学習を含めた「主体的・対話的で深い学び」も拡大しやすくなった。

 過日、ICT遠隔双方向教育で先進的な鹿児島県徳之島町を訪問させていただいた。徳之島町では、へき地・複式学校間の同学年同士が相互に遠隔双方向方式で授業を互換しながら、単式授業を実施していた。

 これにより、子供同士が学校を超えて切磋琢磨(せっさたくま)し、意欲的に教科学習や探究的学習活動をするようになった。極小規模校では、遠隔双方向システムを活用しても、相手校の顔がよく見えるので、協働的な活動も進めやすい。

 さらに教師同士がさまざまな授業方法の意見交換をしたり、他教師の授業を見られたりするため、事実上の研修活動となり、小規模校の教師の実践力が急速に向上していったという。

 この結果としての〝学力〟も極めて高い水準を維持している。ICT遠隔双方向システムは、極小規模校において「個別最適な学び」「協働的な学び」をさらに高め、へき地・小規模校の新しい可能性を広げていると言えよう。

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