ネットいじめの現在

原清治 著
ミネルヴァ書房
2420円

 児童生徒のいじめ被害は増加傾向にあり、とりわけ「ネットいじめ」の解決が急がれる。しかし、ネット空間は従来のいじめと異なり不透明であり、児童生徒の変化に気付くことは容易ではない。本書はネットいじめの実態について、大規模データを用いて教育社会学的に分析。ネット空間で今何が起きているのかを明確にする。

 序盤は「中高生に友達とはどういう存在かを聞くと、『LINEでつながっている子』と答えます」といった若者のリアルを示す。オンラインゲームを通して、時に人を裏切り、時に裏切られる経験を日常的にしていることにも触れ、読み進めるほど子供を取り巻く環境の複雑さが浮き彫りになる。

 中盤以降はデータ結果から、ネットいじめが起こりやすいケースとして、「生徒間の学力のばらつきが多い高校」「家庭内でスマホやガラケーを使用する上でのルールを有していない家庭」という仮説を設定。重回帰分析を実施して具体的な解決策を検証する。

 また、終盤では土井隆義筑波大学教授の講演も収録。「キャラ」「いじり」といった児童生徒のコミュニケーションにおいて切っても切れない概念についても言及。いじめの最前線を知ることができる。デジタルネイティブと言われている通り、今の子供はITリテラシーが高く、ネット関連のトラブルへの対応はどうしても後手に回りやすい。テクノロジーが進歩しても柔軟に対応するため、教育関係者なら目を通しておきたい。

 

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