国語教育は文学をどう扱ってきたのか

幸田国広 著
大修館書店
2420円

 2000年以降、PISAの読解力調査やリーディングスキルテストの結果から「読解力」問題が浮き彫りとなり、世間を大きく騒がせたのは記憶に新しい。

 国語とはそもそも何を学ぶ教科なのか、国語教育はこの先どうあるべきなのか。戦後の国語教育史をひもときながら、特に現在の国語教育の形が出来上がった1980年代、さらにそれ以降の現代史に着目して、国語教育の今と未来について考える本である。戦後国語教育の展開過程を構造的に捉え直し、文学の扱いに焦点を当てて解釈していく。

 構成は、「戦後初期の国語科は何を目指したのか―言語教育という黒船」「戦後国語教育は文学に何を求めたのか―文学の鑑賞と人間形成」「文学教育はどう展開したか―文学科を求めて」「文学教材の指導はどのように確立したのか―高度経済成長と読解指導」「定番教材はどう読まれてきたか―『羅生門』『走れメロス』『ごんぎつね』」「国語教育はどのように変化を迫られたか―知識基盤社会の中で」の6章。

 第4章では、今日定番教材と呼ばれる文学教材群がどのような経過をたどりながら人気教材となってきたのか、「羅生門」を例にその歴史をさかのぼる。最終章では、PISAの読解力調査やリーディングスキルテストから見えてきた近年の課題も踏まえ、国語科や文学教育のこれからの在り方について展望を示す。現職の教員のみならず、教職を目指す学生にもお薦めしたい。

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