(円卓)「新しい人」に優しい集団に

中国学園大学・中国短期大学教授 住野好久

 この春、皆さんの職場に「新しい人(新採用や転任してこられた教職員)」は来られましたか。

 新年度が始まって1カ月、「新しい人」は順調なスタートを切ることができたでしょうか。「新しい人」は、昨年度もその職場にいた教職員よりもずっと大きなストレスや困難を抱えて、しんどい思いをされていませんか。

 それに対するサポートはできていますでしょうか。

 文科省による「2020年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、精神疾患による休職者(5180人)のうち、休職発令時点における所属校勤務年数が6カ月未満の教職員が291人、6カ月以上1年未満が964人。必ずしも発令時の勤務校が原因となったわけではありませんが、精神疾患によって休職した教職員の約4分1が「新しい人」です。

 ところで、私は30年余り前、香川大学に就職して間もなく、地域の先生方の研究サークルに参加しました。大学院を終えたばかりの私が、初めてお会いする先生方に囲まれて、とても緊張していた時、リーダー的な先生がこう言ってくださいました。

 「住野さん、緊張しなくてもいいよ。私たちの集団は新しい人に優しいから。成熟した集団は新しい人に優しい集団なんだよ」と。

 日本は「新しい人」に厳しいと言われます。同質性を好み、異質なものへの寛容性が低いからです。とりわけ学校は、みんなが同じことを同じ時間に同じようにすることを子供たちに求め、教職員には「ここの職場のやり方をみんなと同じようにやること」を求めがちです。

 「新しい人」はその職場の「しきたり」を身に付けることに追われ、自分の持ち味や個性はなかなか受け入れられません。

 また、コロナ禍や教育のデジタル化は教職員に新しい仕事を課し、多忙化が進んでいます。誰もがあれこれと仕事に追われ、「新しい人」を気遣うゆとりを失っています。

 「新しい人」は集団に活力や変革をもたらしてくれる集団の「宝」です。「新しい人」の潜在力を引き出し、集団の力を向上・更新するには、「新しい人」を受け入れ支えるケア的な関わりを集団的・組織的に行うことが欠かせません。それができる「成熟した集団」へと、職場集団を高めていきましょう。

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