(鉄筆)痛みを伴う笑いバラエティー……

 70年代、ヤクザ映画が華やかなりし頃、上映後、映画館から出てくる人がズボンのポケットに手を突っ込み、肩を怒らせ風を切って歩く姿が多く見られた。私自身、そのような気分になったことを覚えている。心理学者のアルバート・バンデューラは、攻撃行動は他人の攻撃行動を観察することにより促進されるとし、社会的モデルの示範的効果を強調した社会的学習理論を唱えている。

 4月15日、BPO(放送倫理・番組向上機構)は「放送と青少年に関する委員会」は「『痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー』に関する見解」を公表。21年8月に審議を決定、22年3月まで7回審議している。青少年モニターとの意見交換では、不快感を示す意見が出されたという。

 同見解では「テレビで演出される『他人に心身の痛みを与える行為』を、青少年が模倣して、いじめに発展する危険性も考えられる。また、スタジオでゲストが笑いながら視聴する様子が、いじめ場面の傍観を許容するモデルになることも懸念される」としている。

 いじめの認知件数は年々増加しており、学校が真剣にいじめを見いだそうとしている証とされている。大切なことではあるが、いじめを生み出さないようにすることも大切である。

 同見解では「『他者の苦痛を慰撫することで、自分のミラーニューロン(投影された痛み)が軽減する仕組み』が、共感性発達の重要な鍵になるのである」と、共感性発達の重要性に触れている。いじめを生み出さないようにするために、共感性育成という視点から教育活動を見直すことも大切だ。

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