(鉄筆)移動教室の経験不足……

 まだまだ油断はできないが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が少し落ち着いてきて、今年度は移動教室や修学旅行などを実施する学校が多いのではないだろうか。

 先日、ある小学校の校長から聞いた話。教委が主催し全小学校合同の移動教室の実地踏査があった。参加した教員のほとんどが移動教室の経験がなかったという。ベテランの教員の大量退職により若い教員が増えていることや、コロナ禍で実施できなかったことが、その原因ではないかという。

 若手教員が実地踏査をして実施計画を立案することは教師として大切な経験だが、心配な点もある。それは蓄積されてきた経験知が継承されない危険性だ。宿舎での生活の仕方やハイキングなどの野外活動については、これまでの資料には記されていないノウハウもあり、ベテランと若手が一緒に実施することにより継承されてきている。そのため、特に安全については、慎重に洗い出して検討を深める必要がある。

 4月末に知床半島沖で観光船が沈没する事故があり、多くの尊い生命が失われた。事故後の調査で運行会社の杜撰(ずさん)な安全管理が明らかになった。その一つに「天候が荒れたら引き返す」という条件で出航したことがある。「天候が荒れる」とは具体的にどのような状況か明確でなく、「天候が荒れてしまってからでは遅い」という指摘もある。

 ハイキングに出掛ける時にも同様に、具体的にどのような状況になったら来た道を引き返すのか、あるいはエスケープルートで戻るのかなど、詳細に決めておくことが求められる。

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