グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか

ローマン・クルツナリック 著
あすなろ書房
1980円

 今を生きる私たちを〝よき祖先〟と、未来の人類が思いをはせてくれるには、どうすれば良いのかを指南する一冊である。

 大きく3つのPARTに分かれ、PART1では、人間には〝短期思考〟と〝長期思考〟の2つのパターンがあると説明。近年は前者の傾向が高まっており、結果的に公的機関や経済システム、文化的生活を根底から揺るがしかねないと注意喚起する。長期思考を養うため、「レガシー・マインド」「大聖堂思考」など6つの方法を紹介するPART2に続く。最後のPART3は、この6つの方法を実践するため、政治・経済・文化の3つの領域から切り込む。現在の政治経済がいかに短期思考優位であるかを厳しく非難し、どのような主張に気を付けるべきか、道を示す。

 難解に思える議論が展開されるが、「インスタグラムに自撮り写真を投稿して人気を集めるか、それとも子孫のために大地に種をまくのか」など、独特な言い回しは面白い。ユーモラスでありながらも分かりやすい表現に徐々に引き込まれ、何度も読み返したくなる。

 本文の一節には「忘れてしまいがちだが、私たちの生活は、すべて彼ら先人たちからの贈り物の上に成り立っている」と記されている通り、私たちが豊かさを享受できているのは、紛れもなくよき先祖のおかげだ。個人主義的な価値観が根強い現代社会において、全ての人類が考えなければいけない論点ばかりである。

 

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