(円卓)ICT端末活用の現状と課題

東京家政学院高等学校・中学校校長 佐野金吾

 GIGAスクール構想の実現に向けた取り組みによって全国の児童生徒1人に1台のICT端末が活用されるようになった。

 特に新型コロナウイルスによる感染症拡大に対応した緊急事態宣言下などにおけるオンライン活用による授業では大いに機能していたことは多くのメディアで扱っていたが、本紙アンケート結果(5月23日付)からも捉えることができる。

 さらに、中教審答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(2021年1月26日)では、通常の学校教育においてICT端末を活用して指導の個別化、学習の個性化を図る授業改善への取り組みを期待している。

 通常の教育活動、特に教科・科目などの授業においてICT端末の活用となると、学校現場ではさまざまな課題に直面している。

 まず、ICT端末のアプリケーションのプログラムが各教科・科目などの授業の狙いに沿った教材として活用できるか、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けたものとなっているか、などが課題として挙げられる。現在、本校の生徒が使用している英語のアプリケーションのプログラムは「できるか、できないか」「早いか、遅いか」を重視したもので、生徒個人の学習のペースに応じた学びは行われるが、ペーパードリルと大差なくデジタル教材としての良さを生かしていない。タブレットのアプリケーションのプログラムが各教科・科目などの授業の狙いを実現できる教材となる開発が待たれる。

 また、ICT端末は、デジタルコミュニケーションのツールとしての活用が「主体的・対話的で深い学び」にとって重要と考えているが、これは未だ少数派のようである。授業で意見を出し合ったり、課題解決に向けて協議したりするツールとしてのICT端末の活用は、協働の大切さや多様性を受け入れる機会となり、生徒のコミュニケーション能力を育むことにもつながる。

 そのためには教師のICT端末活用へのスキルアップが必要であるが、ICT端末の導入によって教員の授業や校務の負担が増えているのが現状である。教員の働き方改革とICT端末の活用による授業改善を両立させる教員の職場環境の改善が必要となる。

 (元全日本中学校長会長)

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