(円卓)将来の教科等の構成の在り方

浦和大学特任教授 工藤 文三

 2017年の学習指導要領の改訂で、小学校では外国語科が新設されるとともに、第3学年以降の各学年の標準時数が35単位時間増加された。その結果、小学校4年~中学校3年の各学年の総授業時数は、1015単位時間となった。小学校の教科は1989年改訂で生活科が新設され、その後外国語活動、外国語科が新設され、教科等の種類は14となっている。教育課程への要請は教育内容の追加の要請がもっぱらであり、精選や統合の要求はほとんどない。

 翻って「生きる力」の育成と教育内容の厳選に挑戦した96年の中教審答申では、「教科の再編・統合を含めた将来の教科等の構成の在り方」について調査・審議する「常設の委員会」の設置を提言した。その後、当時の教育内容の厳選や選択履修幅の拡大の基調は「確かな学力」を求める方向に転換し、この課題は検討されないまま今日に至っている。

 現在の教科等の種類および授業時数を踏まえると、これ以上教科等の種類および授業時数を増やすことは難しいと考える。一方、教育課程に対する社会的要請は今後も増加することが予想される。このような事態を踏まえ、将来の教育課程の在り方を展望するため、次のような視点から基礎的な検討を行うことが必要と考える。

 第一は、義務教育として扱うべき教育内容の範囲と教科等への区分編成の在り方など教育課程の基盤となる部分の検討を行うことである。この場合、現行の各教科等の内容をいったん解き放って、資質・能力と内容の必要性の観点から検討する。第二に、一部の教科等の再編・統合の可能性について検討することである。この方法はそれぞれの教科等が独自な内容を持って存在していることを踏まえると難しい課題である。第三に、現在の教科等の構成を維持する場合の選択肢についてである。授業時数特例校制度の取り組みを整理しながら各教科等間の授業時数のやりとりの道を開いたり、既に一定程度経験済みではあるが、学年ごとの内容構成を柔軟にしたりする方法も考えられよう。

 これらはいずれも検討の進め方や方法の面で難しい面があることは事実である。ただ、教育課程をその時期ごとの検討に委ねて積み重ねていくだけではなく、原則的な視野から抜本的に検討し、議論することも必要だ。

 (国立教育政策研究所名誉所員)

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