実践スクールカウンセリング 効果的なコミュニティ・アプローチの方法

萩原豪人 著
大月書店
1980円

 スクールカウンセラーが導入されてから30年近くが経過し、今では広く認知されるようになった。しかし、気軽に相談することのハードルは依然として高く、子供に寄り添えた存在にはなり切れていない。

 本書では、人と環境の適合性を最大化させ、実際に起こるあらゆる心理的社会的問題の解決を目指す「コミュニティ心理学」の知見をベースにスクールカウンセラーの役割や必要性を検討する。

 序盤、コミュニティ心理学の概要を押さえつつ、スクールカウンセラーの業務内容や広報活動の必要性を説く。新人向けの指南書として優良であり、ある程度のキャリアを持つ人でも原点に立ち返らせてくれるだろう。中盤からは不登校やいじめといった問題や、発達障害を抱える子供に対するアプローチを、具体的な事例とともに紹介。また、「いじめは潜在的で、最初から『ないもの』として捉えていると、見えてこない」という核心を突く指摘も随所に見られ、「スーパーバイザー」のような役割も果たす。終盤では教師や保護者との関わり方にも言及、スクールカウンセラーの広範囲にわたるなすべきことが見えてくる。

 学校現場におけるメンタルヘルスの問題は、年々深刻化しており、この傾向は増加するかもしれない。今後はスクールカウンセラーに寄せられる期待感が増加することが予想されるため、今一度スクールカウンセラーという職務について知る機会を与えてくれる。

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