最先端の教育イノベーターが集結するグローバルカンファレンス「Edvation x Summit(エドベーションサミット) 2019」が11月4日、5日に、東京都千代田区立麹町中学校と、「東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井カンファレンス」の2会場で開催される。主催する一般社団法人教育イノベーション協議会の代表理事を務める佐藤昌宏デジタルハリウッド大学大学院教授に、開催に向けたビジョンを聞いた。

佐藤教授は2010年前後から、EdTechの必要性を訴えてきたという。しかし当時はまだ、EdTechという言葉に誰も見向きもせず、「教育は人の力」という考えかが主流の中、孤軍奮闘した。なかなか理解を得られず、だんだんと意気消沈して、自分の言っていることは間違っているのかとさえ思えてきたと振り返る。
そうした時、米テキサス州オースティンで、教育イノベーションに関するイベント(カンファレンス)があると聞きつけ、英会話に不安を抱えながらも参加。
同イベントには世界中から1万人にも及ぶ研究者、教員、学生そして起業家など、まさに世界中の教育イノベーターと、自治体、大企業、政府が集まり、パネルディスカッションやEXPO(展示)、ワークショップを行っていた。
ミートアップと呼ばれる小さな懇親会、メンタリングという個別相談会なども行われており、そこではドリンクとフードを挟みながら、「こういうアプリを作ってくれないか」と起業家に尋ねる教員や、「こんな技術があるんだけど、どう思いますか」と教員に尋ねる起業家ならではの姿が見られた。
日本人は佐藤教授の他にはほとんど参加していないためか、拙い英語でも、日本の教育改革の現状、EdTechに関する考え方にも興味をもってもらえた。
「米国や世界の教育改革のスピード、多様性の原点を間近にみて、頭をハンマーで殴られたような感覚だった。そして何より、日本で孤立し、挫折しかけた私の思いを「正しい」と確信させてもらった。まさに長年住んだ日本に「アウェー」を感じ、初めて行った街で「ホーム」を感じた。とてもワクワクした瞬間だった」と振り返る。
佐藤教授はそれから毎年参加しているといい、2015年からは日本のEdTech起業家を連れて参加。展示ブースを自腹で借り、日本の教育を世界に発信したり、世界の教育を持ち帰ったり、教育イノベーターを育成・応援するようになった。
「こういう教育イノベーターが増えれば、日本の教育改革に一石を投じることができるかもしれない、これこそ私のやりたかった教育改革のアプローチだった」と佐藤教授は語る。
そして、同様に教育イノベーターの集まるイベントを日本でも開催したいと考えるようになった。それが「Edvation x Summit」だ。
Edvationとはエデュケーションとイノベーションの造語で、「教育にイノベーション」という意味を込めた。目的は2つ。▽テクノロジーによる新しい教育の選択肢を知ってもらうこと▽既成概念にとらわれない教育イノベーターを生み出し、ネットワークをつくること。
今年で3回目となるEdvation x Summit。東京都千代田区立麹町中学校と、紀尾井カンファレンスの2会場で2日間開催し、約3000人の動員を見込む。
佐藤教授は「今回も各界の教育イノベーターを多数招致し、同時多発的に開かれる多彩なコンテンツ、教育改革に旋風を巻き起こしたい」と意気込む。
開催概要は次の通り。
日時
11月4日(月・祝)、5日(火)9:00~18:00(懇親会:18:30~20:30)
場所
東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井カンファレンス/千代田区立麹町中学校
主催
一般社団法人教育イノベーション協議会
協力パートナー
教育新聞など
参加費
1万円/2日(1Dayチケット、早割チケットなどオプションあり。詳細はWebサイトにて)
登壇者
- 工藤勇一(東京都千代田区立麹町中学校 校長)
- 猪塚武(キリロム工科大学 学長)
- 浅野大介(経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長 兼 教育産業室長)
- 山口文洋(株式会社リクルート 執行役員 教育・学習事業担当)
- 稲田大輔(atama plus株式会社 代表取締役)
- 若宮正子(世界最高齢のアプリ開発者)
- 中島さち子(ジャズピアニスト/数学者)
- 葉一(YouTubeクリエイター)
- 小木曽浩介(教育新聞編集部長)
- Julia Shatilo 氏 (SXSW EDU Conference Programming Manager)
- Simon Leung 氏 (NetDragon Websoft Holdings Limited Vice Chairman)
- Leandra Tejedor 氏 (Cofounder and CPO of Vidcode)
ほか、全100人程度を予定
※登壇者は変更となる場合あり