教員の専門性 ICT活用で向上目指す

2014年10月13日号掲載

 就学前の早期支援から自立・社会参加までを視野に入れた予算を――。文科省は平成27年度の予算編成において、特別支援教育の充実のために「障がいのある児童生徒などの自立・社会参加の加速化に向けた特別支援教育の充実」として26年度より18億円増の149億円を要求した。

(1)特別支援教育に関する教職員の資質向上事業・3億7100万円(26年度予算比3億5700万円増)

 障害のある児童生徒の教育的ニーズに応じた指導を行うためには教員の資質の向上が必須だが、特別支援学校教諭免許状の保有率は、特別支援学校で7割、特別支援学級担当教員で約3割だ。  そこで、特別支援学校の教師は必須化も視野に入れ、免許状の取得を促進する。

 (1)指導者養成講習会・教員講習会などの実施

  1.免許状を取得するための免許法認定講習を大学に委託する。対面講習が30大学、通信講習が5大学。

  2.保護者を対象とした講演、体験談の発表、意見交換などの理解啓発会議の実施。

  3.教育委員会、大学を対象とし、免許法認定講習の開設時期や科目設定などの情報交換を全国6カ所で実施する。

 (2)独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(特総研)においてICTを活用した教員の専門性向上充実事業(表)

  1.通常の学級・特別支援学級・特別支援学校等にわけて教職員の職域別の講義・コンテンツのインターネット配信

  2.最新のICT機器を活用した指導の充実・普及を目的としたモデル授業実践演習室での実践指導研修の実施 

 (3)障害者スポーツに関する教員研修のため、特総研の体育館を整備し、車いすバスケットなどが行えるようにする。

(2)発達障害のある児童生徒などに対する支援事業・6億8600万円(同1億円増)

 (1)早期支援研究事業(4億2100万円)

 学習面、行動面で困難を示す児童生徒の学校生活への不適応を防ぐための指導方法の改善、早期支援の在り方について約80人の発達障害支援アドバイザーを任命し、40地域、5大学において研究事業を行う。

 (2)系統性のある支援研究事業(1億円・新規)

 中学校から高校など移行期に円滑かつ適切な引き継ぎ(保護者の合意形成を含む)に関する調査研究を20カ所で行い、そのための学校間連携コーディネーターを約55人配置する。

 (3)発達障害理解推進拠点事業(7100万円)

 教員向けに発達障害に関する校内研修などの実施。教員、保護者、地域などを対象とした成果普及のためのセミナーの開催。教育支援を行う体制を整備するためのガイドラインの作成などを40地域で行う。

 (4)発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業(9400万円)

 7大学を対象に、教員養成段階において、学生に対する発達障害に関する専門的・実践的知識を習得するためのプログラム開発を行う。また、大学院研究科などにおいて中核的な現職教員に対する発達障害に関する高度で先進的な知識を習得するためのプログラム開発を行う。そして成果普及のためのワークショップを開く。

(3)インクルーシブ教育システム構築事業・13億2600万円(同200万円増)

 (1)就学期以前

 特別な支援が必要となる可能性がある子ども、保護者に対し、早期から情報提供や相談会を行い、ニーズに応じた就学先を決めるために40地域に約120人の早期支援コーディネーターを配置する。

 (2)小・中学校

 小・中学校において、インクルーシブ教育を特別支援学級と通常の学級の交流および共同学習のかたちで行う。子どもたちが相互に理解し合える共生社会の実現に向けて、一緒に障害者スポーツに取り組んだり、障害者トップアスリートの体験談を聞いたりと、スポーツを通した交流、共同学習を50カ所で実施する。

 幼稚園、小・中学校、高校における合理的配慮の充実に関する拠点地域・学校における調査研究を35地域を指定して行う。 

 (3)合理的配慮普及セミナーを6ブロックで実施

 (4)医療的ケアのために特別支援学校に約330人の看護士を配置

 (5)特別支援学校機能強化モデル事業

 複数の特別支援学校が連携し、機能別などの役割分担をしながらセンター的機能の機能強化を図るために、25地域を指定し約500人を配置する。

(4)学習上の支援機器等、教材活用促進事業・5億700万円(同7700万円減)

 (1)学習支援機器等、教材研究開発支援事業として企業、大学の9カ所を指定する。

 (2)外部専門家の支援を受け、支援機器などの教材を学校において活用した指導方法実践研究事業に3地域・大学を指定する。

 (3)教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材など普及促進プロジェクト。

(5)自立・社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育充実事業・4億4900万円(同額)

 (1)学校と企業とが連携してキャリア教育・就労支援などの充実事業を行うために40地域を指定し約40人の就職支援コーディネーターを配置する。

 (2)個々の能力・才能を伸ばすため、高校においても「特別の教育課程」を編成する研究のため、自立活動担当教員を配置したり、現行の教育課程の基準によらない自立活動を取り入れた教育課程を研究するために27地域を指定する。

(6)特別支援教育就学奨励費・115億8600万円(同14億3500万円増)

 教育の機会均等の確保のために、特別支援学校および小・中学校の特別支援学級への就学の充実を図るため、障害のある児童生徒の保護者に通学費、学用品など就学に必要な経費を援助する。