子どもが主役になる次世代の学び 教育ツールとしての活用を再検証

2014年11月13日号掲載

 「子どもが主役になる次世代の学びとは」をテーマにした第40回全日本教育工学研究協議会全国大会・京都大会が、10月24、25の両日、京都市の京都テルサ、同市内の8つの小・中・高、特別支援学校を会場に開催された。公開授業では、タブレットPCを活用し、さまざまな効果音を聴き取りながら、各自が選択した詩とふさわしい効果音の組み合わせを考える授業などを実施。分科会では、各地のICTを活用した授業例、情報モラル教育や教員研修などが報告された。小学校の授業分析を通じたICT活用場面や効果検証、タブレットPCを多くの教員に効果的に授業で使ってもらうための研修体制などが発表された。


普及が進んだICTの効果的活用を改めて追求

 大会初日には、京都教育大附属桃山小、京都市市梅小路小、錦林小、藤城小、嘉楽中、藤森中、西京高、桃陽総合支援学校で、ICTを活用した各教科の授業が公開された。学校へのICT普及が一層進んでいく中で、普段の授業でICTを普通に使い、効果を上げるための実践の在り方やICT活用策、研修体制などを改めて考えていった。

 京都教育大附属桃山小2年生のメディア・コミュニケーション授業では、電子黒板や動画教材などを生かし、さまざまな効果音を聴き分けたり、詩とのイメージを重ね合わせながら感性を高める学びが行われた。

 各自が選んだ効果音と詩を組み合わせて鑑賞する作業を、タブレットPCを使いながらグループで進めた。さらに、他グループの組み合わせとその理由を発表し、検討しながら、それぞれの効果音の特性を考え、感性を高め、表現効果について理解を深めた。

 嘉楽中では、透明半球を使った天体モデルの実験とシミュレーションソフトを活用した3年生理科の単元「地球と宇宙」の授業を公開した。

 地球から見た太陽の1日の動きを、シミュレーションソフトで視聴した上で、1日の太陽の動きをグループで計測。その結果を透明半球を使った実験装置上に記録して話し合うとともに、シミュレーションソフトで再現した太陽の動きとも比較しながら、それぞれの実験結果の見直しや振り返りに活用した。

 西京高校1年生の情報の単元「情報の表現と伝達」では、注目した新聞記事をテーマに、生徒個々がスライドを使ったプレゼンテーション資料を作成。

 各生徒が作成したプレゼンテーション資料を見比べながら、効果的な資料のまとめ方や内容、発表の仕方などについて考察し、検証していった。その際には、ほかの意見などを参考に振り返りを深められるよう、自己評価と相互評価をまとめるワークシートの活用なども大事にし、ICT活用だけでない学び合いや、ワークシートへの記述といったアナログな要素を適切に織り交ぜながら進めていった。

学び合いでの振り返りや教師の自信を高める研修体制

 2日目は、授業におけるICT活用、21世紀型学力と教育の情報化、教員研修・サポート体制などをテーマにした分科会・実践報告などを実施。

 横山誠二熊本県湯前町立湯前小学校教諭は、「小学校体育『タグラグビー』でのタブレット端末を活用した授業実践と評価」について発表した。

 授業ではタブレットPCを活用し、児童同士でプレーを撮影。適宜、撮影動画を視聴して振り返る場面を設定することで、動作の改善やプレー技能の向上などに生かした。

 授業展開では、児童が互いの動きを撮影する技術やコツを掴むため1時間目にタブレットPCを使った撮影方法を練習。

 2時間目以降は、教師が毎時課題を提示する中で、効果的な動きや戦術のポイントを意識して練習を積めるようにした。その際、練習した撮影技術も生かして、児童のプレー動画を互いに見比べるようにし、各自の振り返りにも生かすことで、チーム戦術の共有と技能向上を、個々が意識し力量を高められたことなどを報告した。

 大阪府堺市の浦嘉太郎同市教育センター主任指導主事は、昨年度から進めてきた同市内全公立小学校教員への1人1台のタブレットPC整備の流れと、多くの教員にタブレットPCを効果的に使ってもらうための研修などについて報告した。

 同市では、担任がタブレットPCと大型デジタルテレビを活用することで、さらなる授業改善を図ってもらうため、平成25年度から市内の全公立小学校の普通教室に、指導用として大型デジタルテレビとタブレットPCをセットで整備した。

 今年1月から市内全小学校で一斉運用をスタートする中で、市内教員への操作・活用研修を昨年夏休み期間に実施。管理職や教員に向けて、タブレットPCを授業に活用するポイントを示すとともに、具体的な活用授業例と操作体験を積んでもらった。各学校への講師派遣も行い、具体的な授業での操作サポートや授業アドバイスをもらう中で、授業でのICT活用について、教員が自信を深め、使用する機会を増やし、さらなる活用策へのモチベーションを高めている。