1人1台のタブレット活用で情報リテラシーのよさを実感

2015年1月1日号掲載

 1人1台のタブレット端末を使いこなして地元の町を活性化しよう――。新潟大学教育学部附属新潟小学校の片山敏郎教諭は、今年度、4年生の総合的な学習で、地元の商店街を活性化するプロジェクトに取り組み、子どもたちの新しい学びを生み出すことに成果をあげている。

地域活性化事業の中で

 この「下本町商店街」は、新潟市の中央で活気あふれる場として栄えてきたが、高齢化と利用者数の減少によりシャッターを閉ざす店舗がふえてきた。市では今年度の活性化事業として予算を組み、新潟県立大学の関谷浩史准教授による「外国人観光客を呼び込むICTを活用したスマート下本町にぎわいづくりプロジェクト」が行われている。

 片山教諭は、同市の中心商店街の衰退は、未来に生きる子どもたちにとっても他人ごとではない、伝承されるべき地域の文化や魅力を知り、活性化に取り組むことは意義がある、と総合的な学習のテーマとして設定し、関谷准教授のプロジェクトの一環として推進することにした。また、学習の目的の1つとして、子どもが主体的にICTを問題解決のために効果的に活用すると設定し、iPadのマインドマップで考えを整理する大切さを身につけさせることに取り組んでいった。

多様にフィールドワークで活用

 授業の実際を見てみると、まず、街の活性化にはどんなことが必要なのかを子どもたちが調査しに出向き、タブレット端末で写真や動画を撮ったり、商店街の人にインタビューをして情報を収集した。その後、関谷准教授をゲストティーチャーとして迎え、下本町の高齢化予測と商店街の利用率のグラフ、新潟市が取り組むプロジェクトの概要を示してもらい、問題点を理解した上で、活性化のためにどんなことをしたらいいのかを考えた。

 その結果、外国人観光客にもっと来てもらうことが有効であるとの方向性が出され、街のアピールのために英語も入ったパンフレットを作ることになった。再び商店街に出かけ、街の魅力だと思うものを撮影したり、いろいろな人に話を聞いて、パンフレットの素材となるものを作成し、外国人観光客や在住の外国人に見てもらった。すると、子どもたちと外国人の視点では、魅力と映るところが異なることに気づいた。(1)町の人のやさしさ(2)町のありのままの古さ――これこそが魅力であるととらえ、再び外国人の視点で街の魅力を探す調査活動を行い、パンフレットを作った。

 同時に関谷准教授からのアドバイスで、絵はがき、シールラリー、コマーシャルづくり、QRコードづくりをすることとし、「下本町レボリューションプロジェクト」のタイトルでフェイスブックも開設した。ゆるキャラをつくろうと子どもたちが考えたものをフェイスブックにアップして、人気投票を行った。寄せられたコメントや投票状況は全員で共有し、「下ねこにはなんで豆腐がのってるんだろう」といったコメントには、「ご協力ありがとうございます。下ねこになぜ豆腐がのっているかというと、下本町に豆腐ソフトクリームがあって、それが人気で豆腐をのせました」といった返事を書き込むなど、SNSのリアルな情報発信も授業で行った。

デジタルネーティブとして信頼

 片山教諭は、「子どもたちには年度当初に1人1台のタブレット端末を配布した。データ管理があるので、固定されたものを使うようにしている」と説明、子どもたちは朝、学校に来るとまずコンピュータ室に行き、自分の端末を持って学級に来るようになっているという。校内は無線LANが敷かれているので、どこでもいつでもインターネットにつなげることができる。「彼らはデジタルネーティブなので、自由に使わせるといろいろな使い方を見いだす」とし、「私も子どもに教えてもらうことがたくさん」と笑う。

 もちろんネット接続に関しては制限がかけてあるが、「的確な指導さえできていれば、子どもたちは有効な使い方をする」と信頼を寄せる。

 同校では昨年10月に教師に1人1台のタブレット端末が配布されたということで、子どもたちの方が一歩進んだかたちだ。子どもたちは、学習の中で問題解決のために共同でデータを集めて話し合うなど、コミュニケーション促進のためのツールとしても役立てている。

 「考える力」の育成を軸に  「タブレット端末を1人1台持つことで、新しい学びが生み出されている」とし、インターネットに常に接続できるので、分からないことがあればすぐに調べることが可能だし、メール機能などを用いれば、見知らぬ人に質問をすることもできる、などと学習のレンジが広がることを強調する。ペーパー時代では価値が高かった「知識」が、それだけではもはや意味をなさず、組み合わせたり、読み解いたりしてこそ価値が生まれてくる。つまりは「考える力」が重要視され、それを育成することが学校教育に求められてくる。

 片山教諭は、さまざまな教科でツールとしてこのタブレット端末を導入。体育では技をお互いに撮影してチェックをしたり、音楽では歌や楽器演奏を録音し聴いて直したりする。理科では実験に用い、社会では実地調査などで有効に活用できる。国語の説明文の単元では、教科書を学んだ後、自ら表現する場面で各自が身近な人の職業を聞き、写真と文章でまとめ、発表し合った。

 「タブレット端末はあくまでもツールにすぎないが、使いこなすリテラシー能力を育むことで学びはより豊かになる」とし、子どもを信頼し臆せず自由に使わせることが大事であると強調した。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)