デジタルとアナログを効果的融合 タブレット端末1人1台の運用で

2015年3月2日号掲載

 千葉大学教育学部附属中学校(伊坂淳一校長、生徒数456人)は、「1人1台タブレット端末の教育的効果と運用上の課題」を主題にしたICT授業研究会を2月6日、千葉市の同校で開いた。同研究では、研究指定や潤沢な機器整備予算などがない一般的な公立学校での1人1台のタブレット端末やICT活用教育の在り方を追究した。1年理科の単元「音の性質」の授業では、各楽器の音の振幅と振動数を調べる際、従来使用していたオシロスコープの代わりに個々の生徒のタブレットにインストールしたアプリを活用。「音の大小、高低と波形の種類」を個人でより分かりやすく写し、比較観測の授業に役立てた。

■オシロスコープ代わりにアプリ「SPEANA」

 1年A組では、タブレット端末を活用した金坂卓哉教諭の指導による理科の単元「音の性質」の授業を公開した。

 さまざまな音の振幅と振動数を調べる同単元の授業では、これまで主に「オシロスコープ」を使って音波を写し出す機会が多かったが、この実践では、生徒一人ひとりがもつタブレット端末と無料アプリ「SPEANA」を有効に活用した。

 導入では、既習内容の振り返りとして、モノコードを弾いた際の弦の振幅と振動数の関係や、音に合わせレーザー光の波が揺れる実験などを再度見つめながら音と音波の関係を確認。

 その上で、今時はSPEANAを使い、個々の生徒がさまざまな楽器から出した音を個々のタブレット端末のマイクを通じて拾い出し、大小、高低音ごとのさまざまな音波をタブレット画面上に写し出す実験を試みた。

 SPEANAはマイクで拾ったさまざまな音波の拡大画像や一定の時間内の音波から注目したい部分を選択し波形を観測することが可能。このようなアプリ特性を生かし、教室内外にある複数の楽器を生徒が各自自由にかき鳴らしながら画面上に再現される音波を観察、記録し、それぞれの音の強弱と振幅、振動数の比較を進めていった。

 大太鼓音量の大小変化の観測では「大きい音の波は振幅が大きいが小さい音の振幅は小さい」といった異なった波動特性を確認、記録する一方、リコーダーでの音の高低変化の観測では、「高い音では振動数が多く、低い音では振動数が少ない」といった波動特性を確認、興味深く見つめながら、生徒はそれぞれの波形とその関係から分かることをワークシート上に記録していった。

 最後のまとめの集約、意見共有でも、「『高い音では音波1周期の振動周期が短く』『低い音では音波1周期の振動周期が長い』」など、同アプリの「音波の拡大表示」などを有効に生かし、実験結果から、音の大きさ・高さと音波の振幅、振動数の関係へと理解を深める学びを実現していた。

■故障見据え堅牢な端末選定を

 同研究は平成26年度から3年間に渡って実施。1人1台のタブレット端末配備を初年度は1年生から始め、毎年2、3年生へと順次整備していく予定。「費用・労力対効果の視点から1人1台のタブレット端末を所有した実践が有効か」を多角的に検証する研究とし、特別な研究指定や潤沢な機器整備予算がない一般的な公立学校でのタブレット端末、ICT機器活用の在り方を探っていくことも視野に入れた。

 今年度は、▽タブレット端末導入、運用上の課題の集約▽各教科でのタブレット端末活用の実践――を視野に研究を推進。運用上のポリシーとしては、▽タブレット端末は各生徒が持参・管理▽タブレット端末は電子学用品の位置付けとし教育活動以外で使わない▽保護者の負担額は5万円以内で(入学説明会で告知・理解を求める)▽タブレット端末の利用はあくまで学びの手段▽生徒主体の学びにも活用▽ICT支援員など外部人材を使わない――などを重んじて進めた。

 年3回位置付けた職員研修では、タブレット端末の基本操作から、手書きの意見や感想、学級通信などにも生かせる無料の手書き入力ソフト「Metamoji Note」「App『Skitch』」の使い方、各教科に応じたアプリや動画などを生かした具体的な実践事例などを説明と体験を通じて学べるようにした。

 初年度の研究を振り返ってのタブレット端末使用上のポイントとしては、「デジタルとアナログを効果的に融合する」ことを指摘。国語では、俳句に関する基礎知識を学べる反転学習用スライドをパワーポイントで作成、配布し自宅学習に役立てた。数学では、比例や反比例のグラフ学習にエクセルを活用した授業を行ったなどと報告した。

 タブレット端末運用上の課題では、端末の時計が合わない、電源が入らない、ネット接続ができないといった予想以上に多くの不具合が出たことも報告。部分修理が難しいことから修理代金も高くなる傾向があるので、端末選定の際、堅牢性は重要な要素になると注意を促した。また、生徒各自に端末を管理させる場合、故障や忘れ物などで全員分の端末が揃わない状況が必ずあるため、学校購入による予備の端末を必ず用意することが大切などのアドバイスもおくっていた。

 同校/℡043(290)2493

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)