アクティブ・ラーニングに効果 東京工業大でソフトを活用

2015年3月9日号掲載

 関心を集めているアクティブ・ラーニング。それを、授業の中でどのように展開していったらよいのか。しかも、100人規模の大教室で――。東京工業大学電気電子工学科では、ICTを活用してそれを実現していった。能動的で主体的なその学び方を通して、受講態度そのものもアクティブになっていった。

 電気機器学と制御工学の講義で導入したのは、多様なコンピュータやデバイス間を接続するソフトを開発・販売しているインフォテリア(株)製の「Handbook」。モバイル向けの文書管理ソフトで、文書や表計算、画像、音声、動画など、あらゆる電子ファイルをクラウドに保存し、タブレットPCやスマホに表示。閲覧者ごとの配信設定や端末紛失時の情報漏えいを防ぐ機能などが搭載されているのが特長。

 科目は朝一番のこまだったので、従来までは遅刻する学生が多く、いわゆる一方的な講義形式だった。課題を解かせようと学生を指名すると、いやそうに教室の前に出てきて、誤答するとますます前に出たくなくなるといった悪循環。そんな状況を打破していったのがこのソフトだった。

 講義で学生は、各自のスマホなどを活用して課題を解いたり、アンケートに答えたりしていく。まず始めたのは、反復練習のための計算クイズの配信。前に出て答えるのではないので、学生は気が楽。類似の問題1問を試験とし、解答や解くまでにかかった時間、正解かどうかは、管理者のアカウントに届く。講義で出された宿題の難しさについてアンケートに答えてもらったり、分からないところを質問してもらったりもした。受け身の講義だったものが、次第にやりとりのあるものになっていった。

 授業に出て解説を聞かないと復習クイズなどがどこにあるのか分からなくなるので、遅刻や欠席が少なくなっていった。

 さらに、課題を真っ先に解けた学生に前に出て解き方を示してもらうようにした。正解なので以前のように誤答を気にして自信をなくす悪循環にはならない。説明をより分かりやすくするプレゼン資料を用意して話す学生も現れ、ほかの学生にもよい刺激となり、学習意欲が高まっていった。

 こうして、自らが主体的に学ぶ姿勢と、互いに刺激しあう能動的な学びの雰囲気が醸成されていった。このスタイルに変えた効果を測定したところ、関心、意欲、理解とも、導入以前よりも有意に高まっていた。試験結果でも成績上位層が分厚くなった。アクティブ・ラーニングの〝アクティブ度〟の高まりは、受講姿勢の積極性の高まりをも育んでいった。

 「Handbook」の活用を開始する前には、同社から「Handbook教え隊」が来てくれたので、ICTに詳しくない授業スタッフも、すぐに活用することができたという。

 同学科長の千葉明教授は「講義では、前回の結果を踏まえて新たな試みに挑んでいったことが、成功につながったと思う。学生の意見もくみ取りながら、今後とも最適なアクティブ・ラーニングの手法を見いだしていきたい」と述べている。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)