参加型のデジタル教科書 全国の教員が写真をウェブ上に

2015年5月14日号掲載

■指導用デジタル教科書は、アップロードの時代に入った!

 23年度のデジタル教科書で「MY教科書エディタ」を導入し、教科書のカスタマイズを可能にした東京書籍は、次なるステージとして、先生参加型のデジタル教科書に進化させた。

 27年度のデジタル教科書では、「アップローダー」を取り入れ、全国の先生から写真をWeb上にアップしてもらうと、GPS機能で取得した位置情報を基に自動的に全国地図にピン挿しして、資料として共有できるようにした。具体的には、全国の特徴的な地形や川の様子、植物の様子等を、テーマ別にアップロードしてもらって、参加している全国の学校で使えるようにした。これにより、実際には行けない地域の情報が、教室で共有できるようになる。取材時点で、既に桜のデータなど十数点アップされており、今後の展開が期待される。

 次に導入した新しい技術は、「360°パノラマ写真」である。すでに高校デジタル教科書で、同社が導入していた技術ではあるが、千葉県屏風ヶ浦の360°パノラマ写真は、ポイントで拡大写真を見ることができ、地層の授業で扱いやすくしている。また、春夏秋冬の夜空をそれぞれ12時間連続で見ることができる360°パノラマ動画は、扱いにくかった天体を身近なものにしている。他にも狭山丘陵を1年間にわたって定点観測している360°パノラマ動画は、里山の変化をカエルや虫の声も含めて数分で再現されており、自然の変化を確認することができる。

 3つ目の特長は、写真・動画を、2つまたは4つ並べて表示できるようにした点である。これにより、例えば川の上流・中流・下流の様子を比較して観察することができるようになった。また、教科書内にある写真・動画だけでなく、先生・児童が撮影したものも掲示できるようにしている。このことにより、教科書にある事例と地元の事例を比較することができるようになり、児童にとって教科書が身近なものになってくる。

■特別支援教育向け学習者用教科書データ(EPUB3データ)を指導者用デジタル教科書に添付

 特別支援教育向けに、すでに「総ルビ・分かち書き・文節改行」のPDFデータを23年度から添付していたが、今回はそれに加えて、「EPUB3データ」も、指導者用デジタル教科書に添付した。

 一斉指導の際に便利な教科書どおりの表示と、児童の特性に応じたカスタム表示や音声の自動読み上げを行い、視覚障害のある児童にも、扱いやすいデジタル教科書になっている。

 明るさや書体(教科書体)・文字サイズ・行間・文字色と背景色の組み合わせは、視覚特性や環境に応じて設定できる。そして、この設定を一度行うと設定内容を記憶していて、以後EPUB3のデータを読み出した時は、全ての教科で同じ設定になるようにしてある。教科書体の使用は、特別支援教育の先生方から以前より望まれていたことである。文字色と背景色の組み合わせについては、研究者の指導を仰ぎ、実現した。

 また、文字拡大したとき、自動的に改行するリフロー表示を採用しており、見やすい拡大率に設定さえすれば、あとはスクロールして読み続けることができる。テキストの自動読み上げ機能は、さし絵の解説や数式まで音声で読んでくれる。

 さらにEPUB3では、画面に2種類のコンテンツを同時に表示できるので、教科書とノートを同時に表示して使うこともできるようになっている。

 EPUB3データは、どんな端末でも利用できるように、Windows/iOS/Androidに対応するReaderが開発される予定である。

■端末用として学習者用デジタル教材を別売

 オプションとして学習者用デジタル教材を別売する。フューチャースクール・学びのイノベーション事業などで培った端末用教材ソフト開発の経験を生かし、児童の主体的学習活動を支援するツールやコンテンツを提供する。

 内容的には、課題解決のための教材として、シミュレーションやアニメーション・写真・動画・クイズ・ドリル・ツールなどになっている。コンテンツはHTML5で制作して、Windows/iOS/Android端末のWebブラウザで動作する。Sky株式会社のSkymenuで、3つのOSでの動作確認済みで、多くの学校で利用できる。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)