ICT活用で思考・判断・表現力育む 助成校表彰と成果報告

2015年8月24日号掲載

◇一般助成校を初表彰◇

 ICTを活用した授業実践などを支援する(公財)パナソニック教育財団(小野元之理事長)は、第40回の実践研究助成一般助成研究成果報告書優秀団体表彰と特別研究指定校の中間成果報告、第39回特別研究指定校の成果報告会を、東京都江東区のパナソニックセンター東京で、8月4日、開催した。

 一般助成校への表彰は今回が初めて。年間50万円の助成金を受けて研究に取り組んだ平成26年度第40回の一般助成を受けた79校・団体が、それぞれ成果を研究報告書にまとめ、その中から、最優秀の長野県長野市立若穂中学校をはじめ、優秀、佳作合わせて15校・団体が表彰された。

◇柱は協働学習◇

 特別研究指定校は同財団から2年間、150万円の助成金と専任アドバイザーから期間中に計6回の訪問アドバイスを受けて研究。平成26~27年度第40回指定で中間成果報告を行ったのは、山形県米沢市立東部小学校や東京都多摩市立愛和小学校など4校。

 このうち、多摩市立愛和小学校は、授業でタブレットPCを活用した展開ができる環境は整っているものの、それを最大限に生かした活用は図られていない課題がある中で、「タブレットPCの日常化が拓く新たな教育Styleの創造~学びの環境(授業、教師、地域)のRe―designを通して~」を研究課題にした。

 学びの環境である授業・教師・地域の3つを通して、授業では協働学習(話し合い)を柱に環境を変えることで、朝学習、宿題、解説、調べ学習、発表、評価などの学習を変えることができたと報告した。

 また教師の役割は教えるのではなく、ファシリテーターとして気付きを促したり学習や学びを深めたりすることが大切とも話した。今後は、地域との関わりや、自宅に持ち帰ってのタブレット端末との関わりなどを研究課題とした。

◇異動後も円滑に◇

 平成25~26年度の特別研究指定を終えて成果を報告したのは、広島県世羅町立世羅西中学校や奈良県立奈良養護学校などの小・中・特別支援学校合わせて5校。

 その中の1校、東京都板橋区立上板橋第四小学校は、今までもICT機器を活用した授業を実践していたが、一部の授業でシンキングツールを試用したところ、児童の思考力などの向上に期待がもてることが分かった。そこで、研究テーマを、シンキングツールの効果的な導入による「ICTを活用した思考力・判断力・表現力の育成」とした。

 シンキングツールとして、マップやホワイトボードやタブレットなどを用いて研究を行い、全教員がタブレットを含むICT機器とシンキングツールの両者の良さを生かした授業を行えるようにした。授業については、年間予定で研究授業実施日を設定し、教員と児童のそれぞれの方向性から、良くできた点と改善が必要な点を検討するようにし、より深い考察を可能にした。

 また人事異動などへの対応策として、研究の中心となる推進委員会に異動教員が加わるようにし、前年からの研究理解と今後の継続を積極的に図った。

 授業の中で必然的に児童間の話し合いが生まれ、協同的な学習を実現できたことが研究成果だとした。

 今後の課題は、研究を一過性にせず、継続していくことや、教職員の異動の際に初めてシンキングツールを活用する教員への効果的な研修方法などをあげた。

◇支える集団が重要◇

 「学校においてICTを活用した実践研究を定着・普及するための秘訣」をテーマにしたパネルディスカッションでは、研究を通して見えてきた課題として、▽スクールリーダー(校長)とそれを支えるコア集団、ミドルリーダーの構築▽若手とベテラン教職員の融合▽ICTを使っての成功時と失敗時の整理――などを中心に意見が交わされた。

 その結果、▽研究実践を可視化し、外に発信する際のシンプルな手立てが必要▽発表や提案の際、アンケートや確実性のあるデータとエビデンスが必要▽学校の環境の違いによって支援に差があるので、それを誰がどのようにカバーするのかを検討する必要がある――などとまとめた。

 またICTを活用した実践研究を定着・普及させるには、今後1人1台のタブレット端末を持つようになった際、パブリックとプライベートの使い分けを明確に分けていくことを考えていかなければならないとした。

 成果報告会の様子は、後日、同財団サイト上(http://www.pef.or.jp/)で公開される。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)