ICT活用で英語4技能を向上 デジタル教科書学会

2015年9月7日号掲載

 日本デジタル教科書学会(会長・片山敏郎新潟大学教育学部附属新潟小学校教諭)は8月11、12の両日、札幌市内で「2015年度年次大会」を開いた。デジタル教材を活用した実践発表やICTを活用した今後の教育現場の学習環境についてパネルディスカッションなどが行われた。

 はじめに、研究者や小・中・高校教員による研究・実践が発表された。

 このうち、同志社中学校・高校の反田任教諭が「ICTを活用した英語のアクティブ・ラーニング」をテーマに報告。

 同校では昨年度から、iPad miniを中学校1年生全員に配備。これを活用し、デジタル教材やテレビ電話アプリ「Skype」で、4技能の向上を目指している。

 生徒をグループに分け、それぞれがSkypeで、外国人に出身国を英語で尋ねるなどのインタビューをする。それを授業支援ソフト「ロイロノート」にまとめるというのが一連の流れだ。

 同教諭は、授業の留意点について、▽生徒が順に質問▽インタビューではこれまでに学習した表現を活用。ただし、直接国を聞かないこと――などを指摘した。

 授業の成果に関しては、「思いもしない答えや会話に発展することが予想される。こうしたときにも対応できる課題解決力が高まったのではないか」と感想を述べた。

 このほか、環境問題を題材に、英語でのプレゼンテーションの授業実践についても発表した。

 今後の課題については、授業デザインをしっかりと考え、どのタイミングでICTを活用したら効果的なのかを検討する必要があるとした。

 宮城教育大学の安藤明伸准教授は、「イングランドの小学校におけるComputingで使用されるデジタル教材」をテーマに語った。

 英国では、義務教育段階(5~15歳)からComputing教科が設けられていて、数学や科学などが教科横断的に指導されている。Computing推進校では、第1学年(5~7歳)から第6学年(10~11歳)まで、アルゴリズムやコンピュータの社会的な影響などの情報教育を実施している。

 また同国では、目的に応じて、多様なスタイルと教材が使われていると解説した。

 その上で、「日本の情報教育とは大きな開きがある。日本でも、多様な場面で、多様なスタイルでのICT活用を、より一層進めていく必要がある」と訴えた。

 この後、「これからの学習環境デザイン」について、徳島文理大学の林向達准教授とNEL&Mの田中康平代表取締役、エデュテクノロジーの阪上吉宏代表取締役の3人がパネルディスカッションを行った。

 林准教授は、文科省で検討されている「チーム学校」のICT支援員について、財政的に厳しい自治体もあり、配置できないところもあると指摘。こうした状況を踏まえて、「学校事務員をICTのプロに育成することもできるのでは」と提案した。

 佐賀県でICTアドバイザーを務める田中代表取締役は、政府が平成32年度までに1人1台のタブレット端末配備を目指していることついて「自治体独自で用意するのは難しい。個人所有のタブレット端末を学校に持ってくる『BYOD』になるのではないか」と語った。

 阪上代表取締役はオーストラリアからテレビ電話で参加。日本と海外との教育現場の違いにふれ、「日本のICT教育では、教師がリーダーシップをとっているが、海外では教員とエンジニアをつなぐICTコーディネーターがいる。こうした職員が日本にも必要だ」と訴えた。

 さらに3人は、教育現場でのICT環境整備のさらなる充実の必要性などについて議論を重ねた。

(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)