地域内の学校でICT教材を共有 協働学習の思考など明らかに

2015年11月5日号掲載

  ICTを活用した協働学習や家庭教育など、新たな学びの在り方や効果を協議する文科・総務両省連携の「先導的な教育体制構築事業推進協議会」の第3回会合が、10月28日、東京都千代田区のKKRホテル東京で開かれた。


 協議会は「新たな学びワーキンググループ」で、全国3地域の実証研究の進み具合や学校と家庭を結ぶ教育の在り方を検討。「効果検証ワーキンググループ」では、実証研究の教育効果検証などを担う。各グループの役割を確認した後、実証研究地域である佐賀県、東京都荒川区、福島県新地町の3地域がこれまでの実践経過を報告した。


 佐賀県は、タブレット端末などのICT活用を通じて、▽家庭教育を促進▽発達段階を踏まえたプログラミング学習▽教職員研修▽独自教材の改善――を探究している。同県教委の福田孝義副教育長は、総務省の「学習・教育クラウド・プラットフォーム」の「eライブラリ」と、同県が独自に構築した教育情報システム「SEI―Net」を活用した学校と家庭を結ぶ教育ネットワークについて説明。モバイルルーターなどの利用で、ICTを通じた家庭教育の実現を図っているとした。


 同教育システムを介して、県内全学校でICT教材などを共有できる「教材ばるーん」の活用検証を進めているが、著作権上の課題が横たわっているなどと指摘した。


 東京都荒川区は、▽地域内教育体制の構築▽新たな学びに対応した指導方法や指導力育成▽デジタル教材の利便性向上――などを視点に報告した。


 同教委の菅原千保子指導主事は、地域学習など学校外でのタブレット端末活用に向けたアプリ「マチアルキ」について説明。地域内の所定エリアに設けたアクセスポイントにタブレット端末のカメラなどをかざすと、さまざまな情報が提示される仕組み。ICTを活用した校外学習の拡充に生かしたいなどと語った。同区が実施する学力調査とドリル型コンテンツの融合を通じて各学校の児童生徒の「個人カルテ」を作成する取り組みや、区内公立小・中学校で高い指導力をもつ教員が算数のつまずきやすいポイントを動画で解説する「復習型ビデオクリップ」などを作成・配信する研究経過なども示した。


 福島県新地町の研究経過は、同町教委の伊藤寛指導主事が報告。総務省配備のクラウドを利用することで町内ネットワークに接続できる環境下では、教員は児童生徒の学習状況を、いつでもどこでも確認できると語った。


 「Yチャート」という思考支援ツールを活用し、町内の複数の学校と結んだ協働学習などにも効果的に生かした。協働学習に参加する個々の児童生徒の考えや学び合いで見いだされた意見が明確になり、思考を深める学びの在り方や探究に生かせることなどを示した。


 今後の検証に向けて各委員は、「ICT活用で思考・判断・表現力などの能力評価をどのように捉え進めていくか」「全校一斉の学習時などのネットワークアクセスの課題」などについて意見を出していた。
 協議会は、平成29年3月まで実施する。