授業に対話を取り入れる。それによって児童が主体的に学び、学習の理解が深まる。これは今や、どの教師も意識していることであろう。しかし難しいのは、対話の質である。一見活発に話しているように見えても、いつも同じ子供が話していたり、何を話したらよいか分からず黙っていたりするなど、時間ばかりかかってしまい、授業のねらいを達成できないという事態はないだろうか。

監修(一財)総合初等教育研究所 梶井貢 担当 東京都練馬区立仲町小学校 嵐元秀 学習の遅れがちな子への指導をどうするか この時期は、新年度への期待と不安を抱えている先生方が多いのではないでしょうか。若手の先生方には分からないかもしれませんが、長年教師をしている者から見ると、ここ数年、子供たちの学力差が大きくなっているように感じられます。学習が遅れがちな子の中には、危機感を全くもっていない子も少なくありません。6時間授業が増え、放課後の補習指導も難しくなっている中で、学習の遅れがちな子への指導をどうするかは、私たち教師にとって喫緊の問題といってもいいでしょう。 ▽学習の遅れがちな子供が何人もおり、どう関わっていいか分からない。 ▽つまずいている子の指導に時間がかかると、早く終わった子供に対応できない。   ケース1 クラスに学習の遅れがちな子が何人もいます。楽しい授業や分かりやすい授業をするように努めているのですが、なかなか効果が上がりません。さまざまな子供たちに、どのように関わっていけばいいのでしょうか。 対策1 「学習の遅れがちな子」と一言でいっても、その原因はさまざまです。大きく分けて、3通りの原因が考えられます。まずは、「学習意欲」に原因がある子です。「やる気が出ない」「勉強は嫌い」「めんどくさい」といったタイプの子です。次に、「学力や能力」に原因がある子です。がんばっているのだけれど、九九や漢字が覚えられない。文章の意味が理解できない。不器用で字がきれいに書けなかったり、定規などの操作がうまくできなかったりする子たちです。もう一つは、「資質や性格」に原因がある子です。ADHDやアスペルガーなどの発達障害や、集中力に問題があるような子です。特別な支援を要する児童と呼ばれる子です。 学習に課題のある子は、この3つの原因のどれかを抱えています。子供によっては、1つだけでなく2つ、3つの原因を合わせてもっている場合もあります。 学習の遅れがちな子への指導の工夫を考える場合、何が原因なのかを見極めたうえで、対応を考える必要があります。 学習意欲に課題がある子には、授業で出す問題や課題、学習内容や活動を楽しいものにしていくと、意欲が高まっていきます。単元の導入に、誰もが答えられる発問をするのも効果的です。 学力や能力に課題のある子は、自力解決の前に見通しをもたせる活動を入れたり、既習内容の活用を促したり、学び合う活動を入れたり、個別指導に力を入れたりしていきます。学び合う活動や個別指導については、ケース2で書くことにしましょう。 資質や性格に課題のある子は、教師がメリハリのある話術で引き付けたり、発問や指示を簡潔にして分かりやすくしたり、視覚に訴える工夫をしたりしていきます。「これから大事なことを話すよ。一度しか言わないからね」と前置きすると、子供の集中力が高まります。また座席の位置を変えるだけでも、集中力が変わってきます。発達障害のある子の多くは、座席が後方だと話を聞くのが難しくなります。 大声でおしゃべりをする子がいると、学級全体が落ち着かなくなります。教卓の前の座席にすると、学習に対する意識も持続しやすくなるようです。 クラスに学習の遅れがちな子が複数いる場合は、まずは原因を見極め、対策を考えましょう。1つの授業の中に複数の対策を同時に行っていく必要がある場合は、簡単にはいかないかもしれませんが、できることから少しずつ取り組んでみましょう。 ケース2 机間指導の際、つまずいている子へ個別指導をしていると、ついつい時間がかかって、すべての子に指導できずに終わってしまいます。課題の早く終わった子が、おしゃべりを始めてしまうこともよくあります。どうしたらいいでしょうか。 対策2 算数の授業を例に考えてみましょう。一般的に算数は、「課題提示・自力解決・集団討議・まとめ」という流れで行われます。自力解決には8分程度かける場合が多いようです。初めの2分くらいは児童の様子を見て、その後、個別指導を行っていくという授業をよく見ます。一人ひとりのつまずきを見取り、つまずきに応じた指導を行うには、最低45秒から1分はかかります。机間指導の時間は、個別指導以外にもするべき場合があります。それは、集団討議の時に取り上げる考えを決めることです。その時間も確保しなければなりません。 つまり、自力解決の間に個別指導を行えるのは、多くても5人程度だということです。自力解決の時間を延ばせば、個別指導の時間が確保できますが、課題の早く終わった子が遊び始めますし、集団討議の時間も短くなるので、お勧めできません。 つまずいている子が何人もいる場合、一人ひとりを指導するのではなく、まとめて指導するほうが効果的です。まず、課題を提示した後の1分間は、話を聞く力の弱い特別支援を要する児童のところへ行き、課題が把握できているか、学習に取り掛かっているかを見ます。必要に応じて、その児童に課題をもう一度伝えます。次の1分間は、全体を観察して、自力ではできない児童を探します。つまずいている子が少なければ、個別指導で対応します。 しかし、つまずいている子が多かったら、「よく分からない子は前に集まって」と指示します。そして、黒板の前に集まった子たちに、まとめて助言していくのです。子供によってつまずきの程度はさまざまです。「図を描いてみたらどうかな」と助言するだけで見通しがもてる子もいれば、実際に図を途中まで描いて見せて、ようやくやり方が分かる子もいます。 ですから、この方法で指導をするときには、「もうできそうだと思ったら、途中で席に戻っていいからね」と初めに伝えておきます。課題が早く終わった子たちには、「他の考え方でもやってごらん」と指示することも多いでしょうが、自力ではできない児童に教える「ミニ先生」になって学び合いを行うほうが意欲的に活動します。学び合いを行う際には、「自由に立ち歩いていいよ。ただし、一人残らずできるようにすること」とあらかじめ伝えておきます。「がんばっている子を先に教えてあげよう」と付け加えると、すぐに友達を頼ろうとする子がいなくなります。仲のよい子にだけ教えて、その後はおしゃべりをしている子がいたら、課題の終わっていない児童を教師が見つけ、「○○君、こっちに来て教えてあげて」と呼ぶようにします。 個別指導は大切です。しかし、個別指導には限界があります。学力差に対応するには、個別指導以外の対策も考えておくようにしましょう。保護者会、個人面談のやり方がわからない 新年度が始まると、保護者会や個人面談など、保護者と接する機会が増えますが、どんなことを話せば保護者の信頼が得られるのか、自信がありません。先輩の先生の保護者会を見せていただくわけにもいきません。どうすればいいでしょうか。 ケース3 4月の保護者会は大切な出会いの場ですが、何を伝えたらよいか分かりません。どんな話をしたら、頼りがいのある担任だと思われるでしょうか。 対策3 保護者会には多様な役割がありますが、保護者の信頼を得るのが一番の目的だと考えていいでしょう。特に4月が重要です。新しい学級を受け持ってすぐの保護者会では、子供の実態をまだはっきりとつかめていない場合が多いです。だからといって、新年度が始まって数日間の子供の様子を話し、もう話す内容がないといったことでは、保護者の信頼は得られません。 そこで、「学級づくりの方針」を考え、保護者に説明していくと、一気に信頼度が上がります。資料を作って配布するほうが、ただ話すだけよりも説得力が高まります。 この「学級づくりの方針」は、その後の保護者会でも触れていきます。年度途中の保護者会では児童の変容を伝え、年度末には1年の成果と課題を振り返って伝えていきましょう。 ケース4 家庭訪問や個人面談では、子供によって話す時間が長くなったり短くなったりしてしまいがちです。うまく進めるには、どんな話をしたらいいでしょうか。 対策4 年度初めの面談と年度途中の面談とでは、目的が異なります。年度初めの個人面談は、保護者から話を聞くことを中心にします。「まだ担任してすぐなので、お子さんのことを教えてください。家庭ではどんなお子さんですか」と尋ねるといいでしょう。「何か気を付けたほうがいいことやご要望はありますか」と付け加えると、この先生は子供を大事にしてくれそうだと感じてくれるはずです。けれども、話を聞いても内容を忘れてしまってはいけません。重要な内容は、「大切なことなのでメモをしておいてもいいですか」と、その場で書き留めておくといいでしょう。 保護者からの要望があったら、「できるだけ実現できるように努力していきます」と伝えます。この時期、保護者が最も知りたいのは、「友達と仲良くしているか」ということです。事前に「誰と何をして遊んでいるか」をアンケートしておくと、学校での様子を具体的に伝えることができます。家庭訪問のやり方もほぼ同様です。 年度途中の面談では、資料を用意して、学校での様子を具体的に伝えます。子供の作品やノートを用意しておくと、話す言葉に説得力が生まれます。テストの集計ソフトの中には、児童一人ひとりのテスト結果がレーダーチャートで印刷できる機能をもったものがあります。このレーダーチャートをテストの答案用紙とともに見せながら、子供のよさと課題を伝えていくと効果的です。学習につまずきがちな子の場合、危機感を感じて、家庭学習に力を入れてくれるようになります。 ただし、教師が一方的に話し続けると、不満を感じる保護者もいます。「お聞きしておいたほうがよいことはありますか」と初めに断わってから話し始めるといいでしょう。

本校(愛知県稲沢市立法立小学校/江嵜浩央校長、児童数190人)では、自己肯定感を高め、夢や希望が持てる児童の育成をめざしている。そのため、キャリア教育の視点から「スパイラル的年間計画」を作成し、道徳、特別活動、総合的な学習の時間に焦点を当てて研究を進めてきた。

小・中学校の学習指導要領改訂案が、2月14日に公表された。そこではアクティブ・ラーニングという用語はなく、「主体的・対話的で深い学び」という記述で統一された。これは学習指導要領の性格上、あいまいな定義ではさまざまな解釈がなされるので、混乱が生じないようにという意図があると考えられる。アクティブ・ラーニングは「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す授業改善の視点として、次期学習指導要領の重要なキーワードであることに変わりはない。

本連載では、現在運営しているTHINKERSという10代の学び合いSNSを開発することになった動機から、今日に至る実践と関連する考察をしてきた。ICT活用がもたらす新たなコミュケーションが教育にもたらす可能性にも触れてきた。これで最終回となるが、あらためて教育をめぐる環境変化と、誰に、何を提供したいか、を整理したい。

音楽の授業を取り上げたいと思います。体育や音楽は得意・不得意がはっきりしてしまう可能性は高いですが、文化や言葉を超えたコミュニケーションが可能になる、まさにユニバーサルデザイン的な教科といえるでしょう。

探偵は、ドラマのように1人の主人公が大活躍をして事件を解決していくことなどない。実際はチームやパートナー制で調査活動を行い、情報や証拠をつかむのが仕事である。そして、大きな問題の調査となれば、「チーム」の力が必要になるのである。

通常学級での特別支援教育について考えたい。特別支援教育が、学校教育法の改正で、すべての学校で実施されるようになり、この4月で丸10年になる。当初は戸惑いと不安が小・中学校等にあった。

昭和22年の学校教育法以来、かたくなに「特殊教育」を標榜してきた国が、60年を経て突如、「特別支援教育」にかじ取りを変えました。

10年近く連載を書かせていただいたことに心から感謝しています。連載の最後に何を書きたいかを考えてみたら、20代の時に恩師から言われた言葉でした。「なんでもいいから目の前にある仕事を一生懸命やってみると、一生懸命やった先に自分が本当に求めている未来が見つかる」という内容でした。

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