新スタートでつまずかない~若手教員に贈るメッセージ~(9)ぶれない方針を貫いていく

修正eye-catch_oomae京都文教大学准教授 大前 曉政

子供たちに、「方針」を示すのが教師の役割です。どんなことを頑張ればよいのか。どんな姿勢を持ち続ければよいのか。目指すべき方向を語るわけです。

例えば、「努力を続けている人が一番伸びる」と子供たちに話し、努力を続ける価値を示したのなら、ことあるごとに同じ話をするのです。作文がうまく書けない子がいたのなら「努力をすればたくさん書けるようになるよ」と励まします。ピアノができない子がいたら「練習を続けていると、◯さんならきっといつかできるようになるよ」と勇気付けるのです。

日頃から教師が「こういうことが大切だ」と伝えている方針を別の機会に伝えることで、子供は一貫性を持って話を聞くことができます。そして、「いつも先生が言っていることは本当なのだ」と、励ましが効果を発揮するのです。

ここで大切なポイントがあります。それは教師が示した方針をぶれないようにすることです。教師が示す方針に一貫性があるからこそ、子供は安心してその方針に向かって歩むことができます。「努力を続けていたら、いつかは伸びる」という方針を示したら、それを言い続けることが大切になるのです。

例えば、足が遅い子がいて、元々足の速い子に負け続けているとしましょう。それでも、努力して前の自分よりも速くなったことを取り上げ、「努力を続けることが自分を伸ばすのだよ。誰かに勝つことよりも努力を続けて、その結果、前の自分に勝つことに価値があるのだよ」と話すのが大切なのです。

教師は日頃、たくさんの方針を示していることでしょう。「何事も丁寧に取り組む」「初めてのことにも恐れずにチャレンジする」などです。その方針をきちんと自分で覚えておいて、ことあるごとに語るのが大切なのです。「あいさつが大切」と言ったのならば、あいさつを頑張っている子を認め、褒め続けなくてはなりません。

二つ目のポイントは、子供に完璧を求めないということです。教師が示した方針を簡単にできる子もいれば、なかなかできない子もいます。それが自然な状態です。丁寧にすることが得意な子もいれば、続けることが得意な子もいるからです。物おじせずに挑戦するのが得意な子がいるかもしれません。

だからこそ、できない子がいてもそれを許す必要があるのです。宿題を続けようと思っていた子が忘れることもあるでしょう。やろうとしたかどうかを確認し、少しでもやろうとしたのなら「次は頑張れると思うよ」と励ますのが大切になるのです。

教師は方針を示し続けますが、できない子を叱責(しっせき)する必要はないのです。ただ、「こういう方向で頑張るのはとてもよいことだ」と語り、その方向で頑張っている子を褒めていけばよいのです。

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