学び続ける職員室―私たちは何のために職員室に集まるのか(5)対話の質を高める2

アソビジ代表 中川 綾

今回は、目的や目標に立ち返って教育活動を行ったことでコミュニケーションの質を高め、混乱期を抜け出した職員室の事例について紹介する。

校内研究を始める際に、学校教育目標に立ち返ることから始めた学校がある。この学校の校長が提示した学校教育目標には、「自立」や「共に生きる」「地域を愛す」などのキーワードがあった。それらを実現するために何ができるかについて、まずはじっくり話し合ったのだ。総合的学習の時間の研究でもあったため、学習指導要領に書かれている目標を読み直し、自分たちが普段大切にしたいと思っていることと相違がないかを確認。その上で、KJ法などを用いて思いや考えを整理し、言語化していった。

その結果、いくつかのプロジェクトテーマを、子供たちが異年齢グループで探求するカリキュラムの計画を立てた。ここで重要視したいのは、全てが真新しいものになったわけではない点だ。元々のカリキュラムや行事を「何を目的とし、どんな目標を達成するのか」という視点で見直したときに、今まで当たり前のように続けてきたカリキュラムをより深めることができ、授業形態も変えることができたのだ。それらを実践するほどに教職員同士の対話も増え、協力関係も自然と生まれるようになった。

このように、いくつかのプロジェクトを子供たちと共に繰り返し、教職員の多くが異年齢グループの活動に意義や効果を見いだしていた。そんなとき、学芸会を「学年ごとの作品づくりではなく、異年齢グループで行うのはどうか」というアイデアが出た。教職員にとっても初めてのアイデアに「面白そう」「やってみたい」という空気が流れた。

だが、6年生の担任教諭は迷いながらも「学芸会まで異年齢グループにすることにまだ納得できていない」と発言した。「異年齢の活動に意義があることは十分に感じていて、それに反対しているわけではない。ただ、6年生にとっては最後の学芸会だし、おとなしい学年だから、異年齢グループになったとき、重要な役ができなくなるのが不安だ」というのだ。

この時、反対したのはこの6年生の担任教諭一人だった。この学校の教員たちは1回の話し合いで結論を出すのではなく、教職員全員が納得できるまで話し合うことを選択し、話し合いは数回にわたって行われた。それは、研究会議だけではなく、放課後の職員室の片隅でも繰り返された。